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【ビブリオエッセー】日ごとの心の糧に 「眠られぬ夜のために」カール・ヒルティ著、草間平作・大和邦太郎訳(岩波文庫)

 波瀾に富んだ私の人生も黄昏時を迎えた。

 振り返ってみると、数知れない多くの人々、そして「本」との出会いに恵まれて、幾多の試練を乗り越えることができたことを幸いに思う。

 愛読書であるカール・ヒルティ(1833~1909年)の「眠られぬ夜のために」は高齢になった今も、人生の師であり友として変わらない。

 10代の半ば頃から、誰もが避けて通れない問題に直面する。人間とは何か、友情とは、愛とは、生きる意味とは-などなど。それらの答えを得ようと多くの本を読みあさり、何冊かの良い本との出合いはあったが、最も私の心をとらえたのは、この一冊だった。

 人生の中で、立ち向かわなければならない困難を幾度も経験したが、この一冊からは生き方のヒントや生きる力、安らぎを存分に得てきた。聖書や西欧の名詩や名言を多く引用して、日記のように1月1日から12月31日まで、一話ずつ記されている。エッセー風であり、具体的、実際的で読みやすい。

 何年も同じ本を読み続けているが、飽きることなく、読むたびに新しい発見がある。日ごとの心の糧として欠かせない。心身ともに欲する限り、読み続けていくと思う。

 序文の冒頭に、「眠られぬ夜はたえがたい禍いである。」とある。不眠の有無とは関係なく、ごく自然にこの本の世界に入っていける。60年以上前の「本」ではあるが、令和の時代にこそ必要ではないかと思う。

 堺市北区 村上光子 78

 【ビブリオ・エッセー募集要項】本に関するエッセーを募集しています。応募作品のなかから、産経新聞スタッフが選定し、月~土曜日の夕刊1面に掲載しています。どうか「あなたの一冊」を教えてください。

 投稿はペンネーム可。600字程度で住所、氏名、年齢と電話番号を明記し、〒556-8661産経新聞「ビブリオエッセー」事務局まで。メールはbiblio@sankei.co.jp。題材となる本は流通している書籍に限り、絵本、漫画も含みます。採用の方のみ連絡、原稿は返却しません。二重投稿はお断りします。

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