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小林快次さん「恐竜まみれ」 「命懸け」の発掘現場と醍醐味

 こうした現場での前向きな心構えもファルコン・アイと呼ばれるゆえんか。

 小林さんは、科学分野で最も権威のある英国の学術雑誌「ネイチャー」に、日本人の書いた恐竜に関する論文として初めて掲載されたほか、半世紀近く「謎の恐竜」とされてきたデイノケイルスの全身復元骨格の完成にもこぎつけるなど気鋭の恐竜学者として知られる。その出発点はアンモナイトなどの化石が採れる福井県で生まれ育ち、中学時代に化石採集に熱中したことだった。

 ただ、恐竜の発掘作業には年単位の時間がかかり、お金もかかる。しかも現場は常に命懸けだ。アラスカでは体重500キロ超ともみられる地元名物ハイイログマに襲われそうになり、モンゴルのゴビ砂漠では悪天候の中をさまよい濁流に埋没しそうになったこともある。

 「実際、渓谷で滑落して命を落とした人もいる。私も3回肋骨(ろっこつ)を骨折し、靱帯(じんたい)を痛めたこともある」

 それでも毎年、安全とは言えない現場に行くのは、発見の醍醐味が忘れられないからだ。「発見を独り占めできた瞬間の喜びは何とも言えない」。化石が語ろうとする“声”に耳を傾け、謎の一つ一つを自分の力で解いていく過程も至福だという。

 「自分が中学時代にはまったアンモナイトの化石掘りへの興味は、その後の自分の人生を変えた。恐竜研究の面白さを伝えることで、子供たちの夢の選択肢が増えるかもしれない」

 こんな使命感と責任を強く意識しながら恐竜研究と日々向き合っている。(花房壮)(新潮社・1450円+税)

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