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【本ナビ+1】『トリニティ』窪美澄著 必死に生きた女たちの証し シンガー・ソングライター・丸山圭子

シンガー・ソングライターの丸山圭子=東京都世田谷区(萩原悠久人撮影)
シンガー・ソングライターの丸山圭子=東京都世田谷区(萩原悠久人撮影)
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 東京の下町に生まれ育ったお茶くみOL、宮野鈴子。親子三代物書きのライター、佐竹登紀子。母に捨てられた過去を持つ売れっ子イラストレーター、藤田妙子。昭和時代に東京の出版社で巡り合い、50年にわたりつながりを持つ3人の人生を描いた大作だ。

 見合い結婚で寿退社した鈴子は、子供に恵まれながらも孤独な日々を過ごすが、やがてたくましい昭和の主婦として自分の道を悟る。都会的センスに満ち、華やかで奔放な登紀子は、17歳年上の地味で収入のない男に惹(ひ)かれ、自分が養う覚悟で結婚。収入格差にも、一人になれない弱さから別れようとはしない。妙子は誰よりも早く成功を収め、大学の研究者と結婚。子供も生まれるが、仕事優先のあまり、家庭はうまくいかなくなっていく。

 戦後まもなくに生まれ、昭和、平成を生きてきた女性たち。そこには女性蔑視の男社会で女が働きながら家庭を持ち、自由を勝ち取っていくための戦いがあった。

 売れることで注目され、縛られていく妙子のつらさは、私もヒットを出した時代を思い出し、胸が痛んだ。登紀子の、何かにひたむきに生きる男性に尽くす愛にも共感。鈴子が夜泣きの子を一人あやす孤独も経験した。

 3人の生き方にわが身を重ね、女の人生の無い物ねだりの感情が手に取るようにわかった。得られなかったものへのこだわりは捨てきれない。けれど、彼女たちが必死に生きた証しは次、その次の世代へと継がれていく。本人が報われなかったと感じる人生も、誰かの手で救われるのだ。

 「自分の言いたいことをきちんと口に出して相手に伝えるのが大切!」

 登紀子の口癖は、時代を問わず、前向きに生きるための必須キーワードだ。(新潮社・1700円+税)

 □『女の一生』モーパッサン著 新庄嘉章訳

 ジャンヌは世間知らずで、清く正しく育った貴族の娘。結婚生活を夢見ていたが、夫の見境のない不貞やお金の無心ばかりの息子の裏切りに打ちひしがれる。不毛の人生の終わりに彼女が悟ったことは…。

 男の獣性や甘えは今も変わらない。一方、昔の女性は忍耐強い! 女の生涯、古典から学ぶことは多い。(新潮文庫・630円+税)

【プロフィル】丸山圭子(まるやま・けいこ) 埼玉県出身。昭和51年、「どうぞこのまま」が大ヒット。最新アルバム「レトロモダン~誘い」を中心にライブ活動中。洗足学園音大客員教授。

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