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【せせらぎのそばで~鴨川ひと模様(下)】「本音を話せる特別な場所」

 ■21:00 四条大橋付近の西岸

 納涼床の提灯の明かりが映え、河川敷はカップルや缶ビールを手に会話する外国人観光客で一層にぎやかに。一方、明かりの少ない対岸には淡い光のホタルが飛び交う。さらに、暗闇のなかにたたずむ人影も。

 「考え事をしていた」と話すスーツ姿の男性(32)は、大阪府内の酒類製造会社に勤務しているが、この日は仕事で京都を訪れていた。頭を整理するために学生時代に通った鴨川に足を運んだという。「大人になって改めて京都に来ると、いろいろな新発見があり、新鮮な気持ちになれるような気がします」。1時間近く物思いにふけたあと、そっと立ち去った。光明が見えたのかもしれない。

 ■0:00 四条大橋北側の東岸

 夜が更ける。納涼床の明かりも消え、鴨川一帯は暗闇に包まれたが、静かに流れる川の音に交えて、会話を弾ませる声が聞こえる。

 並んで座っていたももさんとゆかさんは、ともに京都市内の大学の看護学科に通う20歳の学生。店で飲食した後、コンビニで酒を買い込み、同9時ごろから河川敷で開く2次会で「恋愛話や将来についての話」を交わすのがお決まりのルートだという。

 夜の鴨川の魅力について、ももさんは「自分の本音を包み隠さず伝えられること」と語る。「少し特別な環境だからこそ、普段は口にだせない素直な思いが届くのだと思う」と続けたゆかさん。2人はゆっくりと腰を上げ、駅に向かった。

 こうして鴨川の一日が終わり、また新しい一日が始まる。

     ◇

 小川恵理子、桑村大、南里咲、永田直也が担当しました。

【用語解説】鴨川

 京都市北部に位置する桟敷ケ岳(さじきがだけ)付近を源とし、桂川の合流点に至るまで京都市内を南下する約23キロの河川。814(弘仁5)年、歴史書「日本紀略」に登場するのが最も古い記録とされている。平安京の時代には都の東の境界だった。現代では河川敷に遊歩道なども整備されているほか、夏には多くの川床(ゆか)が並び、風物詩としてよく知られている。

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