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【話の肖像画】前統合幕僚長・河野克俊(64)(10)危険感じた言葉の応酬

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米国公式訪問で当時のジョー・バイデン副大統領(右端)を表敬。佐々江賢一郎駐米大使(左から2番目)も同席した =2015年7月(防衛省提供)
米国公式訪問で当時のジョー・バイデン副大統領(右端)を表敬。佐々江賢一郎駐米大使(左から2番目)も同席した =2015年7月(防衛省提供)

 〈統合幕僚長として、安全保障面で最大の懸案は、いうまでもなく北朝鮮危機への対応だった。米軍首脳部と接しながら、危険の度合いを測る日々が続いた〉

 2017年の夏から年末にかけ、米朝間では相当な言葉の応酬がありましたね。「破壊する」という言葉もありました。

 〈トランプ米大統領は北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長について「リトル・ロケットマン」とくり返し、金委員長は「おじけづいた犬」などと応じていた。トランプ氏の侮辱に対して「死刑に値する」と反発したこともある。一方、米軍はB1戦略爆撃機を韓国上空に訓練で展開し、米韓合同演習に空母3隻を参加させるなど、軍事圧力を高めた〉

 この構図は、一にかかって北朝鮮の出方しだいでした。北朝鮮は国連決議違反の核を持ち、弾道ミサイルの発射をくり返している。一定のレッドラインを超えれば、米側が選択肢としての軍事オプションを使う可能性はあると思いました。北はかなり事態をエスカレートさせていたから、危険だと感じましたね。

 〈2018年の元旦、金委員長は新年の演説で「核のボタンはいつも机の上にある」と強がりながら、平昌五輪に代表団を派遣する用意があると、南北対話に応じる姿勢を見せた〉

 金委員長が1月1日に態度を変えたのも、アメリカの軍事オプションがあったからだと私はみています。もちろん、外交的圧力や経済制裁も効いたと思います。金委員長に聞いてみなければ分かりませんが、軍事的プレッシャーは相当な圧力になったと思います。

 〈その後、事態は米朝首脳会談へと発展するが、非核化の実現には大きな前進がみられておらず、北はミサイル発射を再開している〉

 金委員長としては経済制裁を解いてもらい、体制保証を勝ち取り、核・ミサイルの放棄はできるだけ時間を引き延ばしたいのでしょう。即刻廃棄などは考えていない。駆け引きの一つとしてミサイルを発射しており、米国の動きを見ているのでしょう。ロシアへ行ったことも駆け引きといえる。何らかの打開策を見いだそうとしているのではないですか。

 〈統幕長の仕事には、米軍が軍事オプションを取った場合に、自衛隊がどう対応するかを、あらかじめ考えておくことも当然、含まれる〉

 米軍とは、ハリー・ハリス太平洋軍司令官やジョセフ・ダンフォード統合参謀本部議長と頻繁に連絡を取り合っていました。

 詳細は言えませんが、日米韓とりわけ日米で緊密に連携して対応していました。年1回、日米韓の軍トップの会談も持っていました。(聞き手 石井聡)

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