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「虚構」を生きる力に 倉数茂さんの長編「名もなき王国」

 「虚構って、生々しい現実との間にクッションを入れてくれるものだと思うんですよ」と話す。「目の前の現実に対し『実はこんな考え方もできるよね?』と別の解釈の可能性を示す。そういう虚構を作る力が衰えると、主体性を失い、圧倒的な現実にのみ込まれてしまう。現実は見方次第で変わるんだ、くらいの気持ちでいる方が間違いなく生きやすい」

 日本近代文学の研究者でもあり、現在は東海大の准教授として創作を教えている。30代のころには職に困り、中国の大学で日本語を学ぶ学生を対象に日本文学を教えたこともある。そうした雌伏(しふく)の時期も、作家としての財産になっている。

 「今回の作品にはつらかった実体験を素直に書いた部分も多い。人工的なものを作っていると、自分の肉声で語りたくなる瞬間がある」と笑う。「今の社会的な問題を切り出してくるのも小説の醍醐味(だいごみ)。リアルな手ざわりのある現実の断片を書きたい、という気持ちも今は強いですね」(海老沢類)

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