神戸ビーフ、革製品でもブランド化へ 海外で勝負

世界的な知名度がある高級和牛「神戸ビーフ」のブランド力を生かし、神戸ビーフに認定された牛の皮で作った革製品を売り出すプロジェクトが始まっている。脂肪が多い銘柄牛は本来、革製品には向かないが、なめし業者が工夫を凝らし特徴のある革に仕上げる。すでに発表会をファッションの本場フランス・パリで開いており、勝負をかける先は海外だ。関係者は「ブランドの名に恥じない製品を発信していきたい」と意気込んでいる。(西山瑞穂)
●パリで発表会
今年1月、神戸市などがパリの「アトリエ・ブランマント」で開いた発表会。集まった有名ブランドのデザイナーやバイヤーら約400人が、「神戸レザー」と銘打って試作された靴やカバンなどを手に取り、「商品化すれば世界ブランドになる可能性がある」と興味を示した。
革のブランド化は平成29年末、市が革小物業者から「神戸ビーフの革を商品化できないか」と相談を受けたことがきっかけ。市も検討を始めたが、神戸ビーフは解体された但馬牛の肉に対して認定されることもあり、解体時の副産物としてまとめて引き渡されていた牛皮を選別することが最初のハードルになった。
市は業者と協力し、但馬牛の皮まで個体識別番号で管理する方法を考案。商品化の前提となる皮の供給にめどをつけた。
●日本らしさ鍵
とはいえ、最高級の牛が最高級の革になるとはかぎらない。なめし業者(タンナー)の全国団体「日本タンナーズ協会」(兵庫県姫路市)によると、なめしには脂を抜く作業があり、脂肪が多い銘柄牛の加工には高い技術力が必要でコストもかかるという。さらに神戸ビーフに認定される牛は皮に厚みがないという特徴もあった。
だが、協力する同市のタンナー「大昌」の大垣昌道社長(60)は、このような特徴こそが「『革は自分たちが1番』という意識が強い欧州で、日本オリジナルを売り出す鍵になる」と指摘する。