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ルート・ブリュック展 はかなく懐かしい陶の輝き

「蝶たち」(1957年、写真左)を中心にした展示
「蝶たち」(1957年、写真左)を中心にした展示
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 北欧フィンランドを代表するセラミック・アーティスト、ルート・ブリュック(1916~99年)の仕事を日本で初めて包括的に紹介する展覧会が、東京ステーションギャラリー(東京・丸の内)で開催中だ。蝶(ちょう)や鳥といった愛らしいモチーフ、深みのある釉(ゆう)の輝き、モノクロームの幾何学世界…。彼女が生んだセラミック(陶)の多様な表現は、見る者の胸に懐かしさとはかなさを呼び起こす。(黒沢綾子)

 「19歳で初めてフィンランドを旅したとき、現地の図書館で偶然手に取ったのがルートの作品集。鳥がモチーフの作品がすてきで、夢中になって描き写したのを覚えています」

 ファッションブランド「ミナ・ペルホネン」のデザイナーで北欧文化に詳しい皆川明さんは、都内で開かれたトークイベントで、大好きなブリュック作品との出合いをこう語った。

 ブリュックはフィンランドの名窯(めいよう)、アラビア製陶所の美術部専属アーティストとして1940年代から80年代まで活躍した。企業専属といっても創作の自由度は高く、アートと工芸の境目もないことは、彼女の作品を見れば一目瞭然だ。

 初期には花や鳥、少女期の思い出などのイメージを皿やタイルに絵付けしていたが、やがて版画の技法を応用し、鋳込み成形による独自の陶板作品を展開。あらかじめ石膏(せっこう)に線描で絵を彫った型に泥漿(でいしょう)を流し込み、彫った部分を凸線として浮き上がらせる技法で、凸線が囲む内側に釉薬を厚く施すことで、深く豊かな色に仕上がっている。

 ライオンをかたどった作品(57年)ではその技法を駆使し、花や幾何学模様でモザイクのように飾った。「生きものが、その体内に景色や記憶などを集積しているかのよう」と皆川さんは表現する。ただ、百獣の王なのに何とも優しそう。ブリュックの長女で現代美術家のマーリア・ヴィルカラさんは明かす。「実はライオンの皮をかぶったロバ。ルートにはユーモアのセンスがあったのよ」

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