PR

ライフ ライフ

【絶滅危惧種を守れ(3)】生息域外培養とDNA解析で保全

培養室で植物を管理する国立科学博物館の堤千絵研究主幹=茨城県つくば市
培養室で植物を管理する国立科学博物館の堤千絵研究主幹=茨城県つくば市
その他の写真を見る(1/2枚)

 ガラス張りの部屋をのぞき込むと、アルミ箔でふたをした多数のフラスコが棚に並び、容器の中で植物が成長している様子を見て取ることができる。

 必要な養分を入れた寒天培地も種子も殺菌し、フラスコの中を無菌状態にした上で、光や温度などをコントロールして生育する。「無菌培養」と呼ばれ、害虫や病原菌の影響を受けるリスクが低く、屋外栽培が困難な種でも比較的育ちやすい。

 部屋は国立科学博物館筑波実験植物園(茨城県つくば市)の研修展示館2階にある。ここで管理されている日本の植物約60種のうち4分の3は絶滅危惧種という。

 死に絶えかねない生き物たちを守り、次世代へと命をつなぐ営みを支える培養室は、大洪水を前にあらゆる動物のつがいを乗せて種を守った「ノアの箱舟」を想起させる。

■ ■ ■

 東京・小笠原諸島の固有種で「幻のラン」と呼ばれるシマクモキリソウも無菌培養で育てられている植物の一つだ。絶滅したと考えられていたが、平成29年6月の南硫黄島の調査で79年ぶりに再発見された。

 採集した株は筑波実験植物園で栽培され、開花に成功している。さらに昨年末には種子から培養を試み、今年2月に発芽が確認された。

 シマクモキリソウと共生する菌を加えた培養も行っており、担当する国立科学博物館の堤千絵研究主幹は「遺伝子から共生相手かどうか、共生して条件良く保全できるかどうかを調べている」と話す。

 DNAは4つの塩基の並び方(塩基配列)で遺伝情報を記録している。細胞分裂で複製されて細胞から細胞へ、親から子へと受け継がれる。

 DNAを解析することで多くの情報が得られ、絶滅危惧種の生物が減少するに至った背景を調べ、保全に生かすことに役立つ。

■ ■ ■

 標本にあるDNAも解析できるが、難点がある。時間の経過とともに分解され、短く断片的になっているからだ。

 そこで、標本のDNAの解析には、塩基配列を高速で、かつ大量に読み取る「次世代シーケンサー」という機器が用いられる。シュレッダーで裁断された無数の紙片の内容を判読し、記されていた文章を明らかにする機械を思い浮かべると分かりやすい。

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ