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「時間ない」 進まぬフィリピン残留日系2世の国籍回復

幼少期に生き別れた父の故郷、津堅島を見つめる冨里・ゼナイダ・スミコさん(右)=沖縄県うるま市(橋本昌宗撮影)
幼少期に生き別れた父の故郷、津堅島を見つめる冨里・ゼナイダ・スミコさん(右)=沖縄県うるま市(橋本昌宗撮影)

 フィリピン残留日系2世の国籍回復は進んでいない。戦後の厳しい反日感情から逃れるために日本人であることを隠して生活してきた影響や、証明書類の散逸などが要因とみられる。最も若い世代でも70代という日系2世。無戸籍のまま亡くなる人もおり、関係者は「時間がない」と焦りを募らせる。

 NPO法人「フィリピン日系人リーガルサポートセンター」(PNLSC、東京)によると、無戸籍者が届け出をして戸籍に記載される「就籍」には、両親の結婚証明や父親と自身の父子関係の証明、本人確認などが必要になる。

 先の大戦で日本に一時占領されたフィリピンでは戦後の20~30年間、反日感情が強かった。終戦で日本人の父親が強制送還されたり、戦災で居場所が分からなくなったりして取り残された2世たちは、迫害を恐れてフィリピン風の偽名を使って生活していた人が多かった。書類も見つからないよう破棄してしまい、歳月とともに記憶も曖昧になっている。

 PNLSCなどの民間団体は、首都マニラや南部の大都市ダバオなどにある日系人コミュニティーを中心に証明書類や関係者の証言の収集を進めているが、1人当たりにかかる時間は膨大だ。フィリピンは7千以上の島々からなり、現在も離島部などから「自分も実は日系2世だ」との申し出が寄せられるなど、全容把握すら難しい状態という。

 平成30年度の外務省の調査では、これまで確認されている2世3810人のうち、国籍が回復されたのは1210人。父親の身元が正式に確認できない人はまだ893人おり、国籍回復を果たせぬまま死亡した人は1531人に上る。

 PNLSCの担当者は、「2世の高齢化が進んでおり、残された時間は少ない。日本やフィリピンの公的機関が救済に乗り出さなければ、自分の出自を認められないままなくなる日本人がこれからも増えてしまう」と訴える。(橋本昌宗)

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