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【聞きたい。】北岡伸一さん 『世界地図を読み直す 協力と均衡の地政学』

『世界地図を読み直す 協力と均衡の地政学』
『世界地図を読み直す 協力と均衡の地政学』
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■中小国の視点から見る日本

 「いま地政学の時代だと改めて言われていますが、それは当然のことですよ」

 国際秩序が流動化した平成期の日本で、安保法制など対外関係に関わるさまざまな政策構想をリードしてきたことで知られる現実主義の政治学者だ。平成27年からは国際協力機構(JICA)理事長を務めており、在職3年半ですでに約50カ国を訪問。日本では一般になじみのない国も多いが、本書はそれぞれ固有の地理的歴史的制約の中で奮闘するそれらの国々を分析しつつ、世界の中での日本外交の進路を考察する。

 「日本の外交にはパターンがあり、当然それは地理的状況に規定されている。そのことは他国でも同じ。各国がどういう外交をしており、日本とどう折り合えるところがあるのか。それが私の基本的な関心です」

 日本の政府開発援助(ODA)を担うJICAの理事長という職務上、目はおのずから大国よりも中小国へと向く。ロシアという“過敏な大国”との付き合いに常に神経を使う周辺国、中国が影響力を広げるアフリカ、日系人という絆を持つ南米…。歴訪の中で見えてきたのは、国際的に思ったよりも評価されている日本の実像だ。

 「日本は米中露のような“極”にはなりえない。戦前にそうなろうとして失敗した歴史があります。だから日本は“極”に準じる大国として、価値観を同じくする国々と連携し、紛争を平和的に解決しつつ自由な貿易を維持する国際協調のシステムを構築することが国益の根底になるのです」

 日本外交というと、米中露などの大国との2国間関係ばかりが論評されがちだが、遠い中小国の視点に立てば、また違った日本の立ち位置が見えてくる。

 「近隣の大国との関係はもちろん大事ですが、他の離れた国々とどういう関係を結べるかもまた大切なことなのです」(新潮選書・1300円+税)

 磨井慎吾

                   ◇

【プロフィル】北岡伸一

 きたおか・しんいち 昭和23年、奈良県生まれ。東大大学院法学政治学研究科博士課程修了(法学博士)。立教大教授、東大教授、国連大使、国際大学長などを歴任。著書は『自民党』『官僚制としての日本陸軍』など多数。

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