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建築家・隈研吾さん、紫綬褒章を受章 地方をもっと元気に

「新国立競技場は全体的に優しい感じに仕上がっている」と話す隈研吾さん =東京都港区(早坂洋祐撮影)
「新国立競技場は全体的に優しい感じに仕上がっている」と話す隈研吾さん =東京都港区(早坂洋祐撮影)

 「建築はチームでつくるもの。職人さんにも難しいことをやってもらっている。皆を代表して、いただこうと思います」

 紫綬褒章を受章した隈(くま)研吾さん(64)は2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場、JR山手線の高輪ゲートウェイ駅など、東京の新しいランドマークの設計に携わっている。世界各国にプロジェクトを抱え、1年の半分は海外を飛び回る多忙の身だが、「現場が大好きだから」と笑い飛ばす。

 建築の仕事に携わり40年。「自然素材を生かした設計で建築文化に寄与」したことが評価された。とかく建築はかたちに関心が集まるが、それ以上に重視してきたのが素材だという。「自然素材をなるべく使いたい。ストレスの多い時代なので。日本なら特に木。地場産の木を使い、地元の職人さんと一緒につくれたら最高だなと」

 木の魅力を教えてくれた現場の一つが、高知県西部の山間にある梼原町(ゆすはらちょう)だ。地元の杉材を使った地域交流施設(平成6年)を皮切りに、梼原町総合庁舎、ギャラリーなどから昨年完成の図書館まで、長年建築を通して町に関わってきた。「親戚(しんせき)のような付き合いをしてきた。町に育ててもらった」と振り返る。

■ ■ ■

 建築家を夢見始めたのは10歳のとき。それは前回の東京五輪(昭和39年)にまつわる鮮烈な思い出だ。「丹下健三先生設計の国立代々木競技場に親に連れていってもらい、まずコンクリートの造形に度肝を抜かれた。中に入ると、天井から光が降りてきてプールの水面がキラキラ輝いて…。すごいな、自分もこんなふうに人を感動させたいなと思いました」

 不思議な縁に導かれ、半世紀後に新国立競技場の設計に携わっている。「オリンピックは僕ら子供にとって大事件だった。だから自分も良いものを次世代に」と意気込む。コンクリートと鉄で屹立(きつりつ)する高度経済成長期の建築とは異なり、少子高齢化のゆるやかな時代に合った建築、自然素材を多用し人間の心身に寄り添う建築を目指してきた。

 このほど屋根が完成した競技場を外から見上げると、国産材を使った軒庇(のきびさし)の縦格子が美しい。「全体的に優しい感じに仕上がっていて、これまでにないスポーツ競技場になりそう。皆さんにも早く見てもらいたいですね」

 さらに「五輪後」にも思いをはせる。「地方をもっと元気にしたい。場所のスケールに合った建物の設計や改修などで、少しずつ日本を元気にできたらと考えています」(黒沢綾子)

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