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【本ナビ+1】理不尽な社会を静かに告発 キャスター、タレント・ホラン千秋

ホラン千秋さん
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 ■『82年生まれ、キム・ジヨン』チョ・ナムジュ著、斎藤真理子訳(筑摩書房・1500円+税)

 高校時代の同級生だった韓国人の女の子に、「すごく面白いよ」と勧められたのがこの小説を手に取るきっかけだった。韓国では100万部を超えるベストセラーとなり、この日本語訳版も反響を呼んでいる。

 主人公は韓国で1982年に生まれた女性、キム・ジヨン。夫と1歳の娘とともに暮らしていた彼女はある日突然、自らの母や友人の人格が憑依(ひょうい)したような振る舞いをはじめ、周囲を驚かせる。彼女に何が? 誕生から30年余りに及ぶ半生が臨床医のカルテの体裁で回想されていく。

 学生時代、受験や就職活動の顛末(てんまつ)、結婚と育児の日々…。彼女の歩みから、普通の女性を取り巻く差別や偏見が浮かび上がる。きょうだいでは男の子が厚遇され、就職活動で侮辱的な質問を浴びることも。出産後も仕事を続けたい主人公が、自分をなだめようとする夫に投げつける「あなたは何を失うの?」という言葉は痛切で、心を打つ。随所に男女の賃金格差などの統計も織り込みつつ、性別という本人が「選べない要因」によって抑圧を強いられる理不尽な社会構造が静かに告発される。

 キム・ジヨンという名の女性は韓国では非常に多く、82年生まれでは最も多い名前らしい。よくある一般的な名前を主人公に与えることで、この物語が特別な話ではなく、同じ悩みや苦しみを抱えている人が多いのだという事実が強調されている(もちろん日本にも…)。〈世の中はほんとうに、大きく変化した。しかしその中のこまごまとした規則や約束や習慣は、大きく変わりはしない〉。男女がお互いを尊重しサポートし合う。そんな風景が当たり前となる時代を切望する祈りのような声が聞こえてくる。

 ■『哲学な日々 考えさせない時代に抗して』野矢茂樹著(講談社・1350円+税)

 友人に「考えるのが好きだね」とよく言われる。だからなのか、日常のなかの哲学をやさしく語ってくれるこの一冊も愛読している。心に響くのは、物事に執着しすぎない姿勢の大切さ。「マイナス」にしか捉えられなかったことを「ゼロ」に感じられるような考え方のヒントに触れられて、気持ちが少し楽になるはずです。

【プロフィル】ホラン千秋(ほらん・ちあき) 昭和63年、東京生まれ。青山学院大学英米文学科卒。TBS系報道番組「Nスタ」、フジテレビ系バラエティー「バイキング」(水)などに出演中。

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