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スケバンからコギャルまで 女子の制服でみる100年

「ニッポン制服百年史」展では、各年代を代表する制服を見ることができる
「ニッポン制服百年史」展では、各年代を代表する制服を見ることができる
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 そろそろ衣替えの季節。中学・高校や国・私立の小学校制服も夏用にチェンジされる。欧米を参考にした洋装の女学生服が明治期に生まれ、今年で100年。昭和期に黒系一辺倒だった学生服は色や柄、デザインなどがさまざまに変化し、海外から注目されるアイテムにまでなった。弥生美術館(東京都文京区)で開催中の「ニッポン制服百年史」は、“カワイイ”文化の代表格として世界に知られるようになった学生服の変遷と、令和での未来予想図を示す。 (文化部 伊藤洋一)

100年変わらず

 地面に着きそうなほど長いスカートをはいた昭和50~60年代の「ツッパリ・スケバン」や、チェック柄のミニスカートにルーズソックスといった平成の着こなし方が、実際の制服やイラストで展示されている。美術館での一風変わった催しに、女性が大半の観覧者から笑いが起こったり、「懐かしい」の声が漏れたり…。リカちゃん人形が各地の制服を着たミニチュアが展示され、かとうれい、江口寿史らが描いたはつらつとした女子のイラスト、マンガ作品も公開されるなど制服一色の会場だ。

 着物やはかまだった高等女学校の通学服が、山脇高等女学校(現山脇学園=東京都港区)の山脇房子・初代校長考案によりワンピース型になったのは、大正8(1919)年のこと。縫製の仕方などはその時々で変えられたが、100年たった令和の現在も、第一制服として当時のデザインを踏襲しているという。

 この“山脇ワンピース”を皮切りに、各地で洋装化が進行。京都の平安女学院などで採用されたセーラー服は、昭和期に全国へ広がっていった。

平成は制服の時代

 同館では昨春、「セーラー服と女学生~イラストと服飾資料で解き明かす、その秘密~」を開催。中原淳一(1913~83年)ら叙情画家が描いた少女の作品や、アニメ「美少女戦士セーラームーン」などを紹介した。セーラー服着用経験がある女性、あるいは制服がセーラー服ではなく憧憬(しょうけい)の対象だった女性を中心に評判となった。

 「リボンの結び方一つとっても、学校ごとに個性がある。平成は制服の時代だったと言え、この30年でブラッシュアップされた。元号が変わる節目でもう一度、制服の奥深さを考えてみたいと思いました」と話すのは、「ニッポン制服百年史 女学生服がポップカルチャーになった!」(河出書房新社)の編著者で、同展を企画した弥生美術館の内田静枝学芸員だ。

 セーラー服はその後、ブレザー型に多く変わっていく。平成の30年間で、全国約2万ある中・高校の半数が制服のモデルチェンジを行ったという。高校に限れば、約8割がブレザー型という調査も。著名デザイナーが手がけることが増えたのも、平成期の特徴だ。

 昭和60年刊行の「東京女子高制服図鑑」がベストセラーになったイラストレーター森伸之氏は、「私学の場合、経営者が学校のイメージを変えようとブレザーに変更するケースが多かった。志願者が増え、偏差値が上昇するなど、制服変更には一定の効果があった」と分析する。

プリクラがけん引?

 平成初期、東京・渋谷を中心に制服姿のまま遊ぶ女子学生は「コギャル」と呼ばれた。ブランドもののセーターを羽織ったり、自分の学校ではなく男子校のスクールバッグを肩にかけるなど、仲間同士で制服スタイルを崩して放課後を楽しんだ。

 情報発信面から制服の変遷を分析するのは、シンデレラ・テクノロジー研究者の久保友香さんだ。女性が化粧などで変身していくさまを数値で表そうとした研究「『盛(も)り』の誕生」(太田出版)を今春刊行した久保さんは「(平成7年登場の)プリクラでシールを交換し、見せ合うことで他校の“イケてる”女の子を知ることが容易になった」と解説する。

 華やかな女子高生に似せようと、制服などビジュアルを近づけることで、コミュニティーの一員になれた気がする…そんな風潮だった。「決められた枠の中で着こなしを工夫するのは、日本人が得意とするところ。中にはそのグループから離れて、新しい型を作る子も出てくる。古くからある守破離(しゅはり)の美意識に近いものがある」と、久保さんは“制服着こなし道”ともいうべき技芸が平成前期にはあったと見立てる。

令和時代の制服は…

 制服は昭和の一時期、大人から抑圧される象徴として毛嫌いされ、私服を求める声があった。しかし現在では、制服ではないのに制服に似せた“なんちゃって制服”スタイルで通学したり、遊びに出かけたりする女子学生がいるなど、深く愛されるアイテムに。それだけに内田、久保両氏とも、制服という様式はなくならないとみる。

 一方で、新たに浮上している課題が、心と体の性が異なるLGBT(性的少数者)の生徒への対応だ。ブレザーの場合、ボタンからファスナーに変更することで従来の右前(男子)、左前(女子)の合わせという考えを取り除いたほか、女子でもスカートではなくパンツスタイルを選べるよう提案する学生服メーカーも出てきている。

 昭和・平成の服飾史にとどまらず、漫画やアニメを通じて世界に広がった文化的要素や学生服を通して社会風俗、女子高校生の生き方まで振り返ることができる。

 6月30日まで。午前10時~午後5時(火曜休館)。入館料は一般900円、高校・大学生800、小・中学生400円(竹久夢二美術館にも入館できる)。問い合わせは03・3812・0012。

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