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【8050の実像-中高年ひきこもり61万人】(下)23年ぶりに社会へ「認められうれしい」

 就労経験がない谷口さんは、自立に向けて何をすべきか分からなかったが、インターネットで見つけたひきこもりの自助会に参加を申し込んだ。

 会場への途中、緊張で吐いてしまい、何度も引き返そうとしたが「一生後悔する」と自身を奮い立たせた。各地の自助会に顔を出し、参加者と過去を語り合ったり、一緒に料理を楽しんだりすることで孤立感は薄れていった。

 ひきこもり当事者の居場所づくりに取り組む市民団体「エスポワール京都」(京都市)代表の山田孝明さん(66)は、「『こんなことをしていてもだめだ』と自身の現状を自覚することが脱却への第一歩だ」と指摘。自助会で同じような境遇の仲間と交流する中で、ハローワークに通い出すなど自発的に動き出せる人もいるという。

 そのため、周囲は「これからどうするの」などと責めるような言葉ではなく、「『笑顔がすてき』『生きているだけでうれしい』といった、ありのままを受け入れるような言葉をかけることが大切だ」と話す。

認められる喜び

 谷口さんは平成29年に自助会をきっかけに、枚方市の就労支援事業を知り、自分のペースで仕事ができる新聞販売店のポスティング作業を紹介された。

 職場では真面目な態度が評価され、購読代金の集金も任されるように。人と話すことにためらいはあったが、担当者が「失敗してもいい」と背中を押してくれた。

 当初は集金の際に購読者と何を話していいか分からず、自宅でやりとりを想定して練習を重ねた。今は多いときに、1日100軒以上を訪問することも。ひきこもっていたころに比べ、物事を前向きに考えられるようになった。

 「ちょっとしたきっかけでひきこもりに戻るのではという不安はあります。でも、今の生活が好き」。目標の一人暮らしに向け、一歩ずつ進み続けている。

=終わり

 「中高年のひきこもり」に関する体験談やご意見、ご感想を募集します。住所、氏名、年齢、性別、電話番号を明記していただき、郵送の場合は〒556ー8661(住所不要) 産経新聞大阪社会部「8050問題取材班」、メールはiken@sankei.co.jpまでお送りください。

 小川恵理子 山本考志 細田裕也が担当しました

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