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【8050の実像-中高年ひきこもり61万人】(下)23年ぶりに社会へ「認められうれしい」

ひきこもりから脱け出し、新聞販売店で働く谷口優子さん(仮名)=4月、京都府(小川恵理子撮影)
ひきこもりから脱け出し、新聞販売店で働く谷口優子さん(仮名)=4月、京都府(小川恵理子撮影)

(中)救えなかった孤立した親

 「いろんなことにチャレンジできるようになりました」。笑顔で話す谷口優子さん(47)=仮名、大阪府枚方市=は2年前までの23年間、ひきこもり生活を続けていた。

 今は勤め先の新聞販売店で任される仕事が増え、「認められることがうれしい」と手応えを感じている。

 幼い頃から引っ込み思案。高校では同級生に避けられ、無視された。孤立の苦しみは体にも現れた。授業中によく腹の調子が悪くなり、医師からはストレスから慢性的な下痢が続く「過敏性腸症候群」と診断された。原因は明らかだったが、「孤立している事実を知られたくないし、卒業だけはしたい」と両親には相談せず、耐え続けた。

 大学でも状況は変わらず、人と話すことに恐怖心を抱いたままで臨んだ就職活動は、就職氷河期の最中。不採用の通知を受け取る度に自分を責める一方、時代のせいにして安堵(あんど)した。

 これが、社会との隔絶の一歩になった。両親に疎まれないよう、率先して家事や祖父母の介護を引き受けた。在宅時間が長くなり、近所への買い物や図書館に出かけるだけに。人と話すことも苦痛で避けた。「母は私が祖父母の介護を引き受けることで助かっていたと思う。そういう気持ちを利用していた」。楽しいと感じることがないまま毎日が過ぎていった。

自助会で奮起

 転機は数年前。祖父母が亡くなり、家に居場所のなさを感じていたとき、父親に大腸がんが見つかった。手術は成功したが、ずっと目を背けてきた親の死後に待つ現実に不安を覚え、将来を真剣に考え始めた。

 世間では、中高年のひきこもり当事者と高齢の親の年齢をなぞらえて名付けられた「8050(はちまるごーまる)問題」への警鐘が鳴らされていた。谷口さんの両親も70代。ひきこもりが続いていたら「8050」に足を踏み入れる可能性は十分にあった。

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