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【世界遺産】都市部の歴史遺産、景観保全と世界への発信重要

古市古墳群、(画像下から)誉田八幡宮と応神天皇陵と仲姫命陵と允恭天皇陵=2017年6月30日、大阪府羽曳野市(本社ヘリから、宮沢宗士郎撮影)
古市古墳群、(画像下から)誉田八幡宮と応神天皇陵と仲姫命陵と允恭天皇陵=2017年6月30日、大阪府羽曳野市(本社ヘリから、宮沢宗士郎撮影)

 世界に例のない巨大前方後円墳が集中する百舌鳥(もず)・古市(ふるいち)古墳群が、世界文化遺産登録へ大きく前進した。天皇陵を中心に1600年前の姿を今に伝え、古代国家の形成過程を物語る古墳群は、人類共通の歴史遺産にふさわしい。ただ、両古墳群は大都市にあるがゆえの景観保全という課題を抱えている。また、宮内庁管理の天皇陵などは立ち入りができないことから、今後は公開のあり方を含め、世界に歴史的価値をいかに発信するかが問われる。

 5世紀を中心に約230基の古墳が築かれたとされる両古墳群だが、戦後復興や高度経済成長に伴う開発で多くの古墳が破壊され、今は89基に減少している。

 「世界遺産の墳墓群で、両古墳群ほど都市部にあるケースはない」(堺市担当者)という状況の中、地元の堺、羽曳野、藤井寺の3市は古墳周辺にバッファゾーン(緩衝地帯)を設定。建築物の高さ規制や景観規制などを強化してきた。しかし、それはあくまでも景観保護のスタートラインに立っただけだ。規制前に作られた既存建物の扱いや、都市開発と景観保護のバランスなどクリアすべき問題は山積している。

 一方、皇室の祖先をまつる天皇陵などは立ち入りが禁じられ、内部の詳細は明らかではない。発掘は墳丘保護を目的にした範囲にとどまり、被葬者を納めた石室などの調査は行われていないからだ。これに対し、研究者からは「世界遺産になれば海外の人も増え、立ち入り厳禁の現状を世界が理解してくれるかどうか」として、墳丘を囲む堤の一部の公開などを求める声もあがっている。

 景観を保ち、陵墓としての尊厳を守りながらどこまで情報公開が可能か。「都市の中で生き残った歴史遺産」を将来に伝えるためには、世界的な視点も含めた国民的議論が欠かせない。(小畑三秋)

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