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【朝晴れエッセー】ベトナムの風 5月12日

 夫の会社にベトナムから技能実習生の若者がやってきた。彼の名は「ティン」。夫は彼に仕事などを指導する係になった。彼は夫をお父さんと呼ぶ。お母さんと呼ばれる女子社員もいて、国のご両親に少し申し訳ないが、私はもう1人息子ができたみたいでうれしい。

 日本の言葉や習慣などいろんなことを学んで会社に入ったけれどそこはまだ1年生。大阪弁のニュアンスが伝わらずちぐはぐな会話になったりしてほほえましい。そんな話を夫は毎日帰宅後本当に楽しそうに話す。私も1度彼に会ったけれど、緊張のあまり会話どころか顔を見ることさえできなかった。そんな私に元気ですか?と声をかける優しさも忘れない。

 彼は勤勉だ。毎日手弁当で出社し、仕事を学び、帰宅後は日本語の勉強をするという。

 私たちはベトナムのことは何一つ知らない。言葉、食べ物、習慣、文化、戦争のことなどいろいろと調べ学びベトナムという国を深く知っていく。そして気付く。彼らが決して働くためだけに日本に来たわけではないことを。日本という国や人を学びに来たことを。昨今、新聞などをにぎわす外国から働きに来た人たちに思いを馳(は)せると悲しい。いつかベトナムへ帰る日、日本の国や日本の人のことを、一番の良いお土産に携(たずさ)えて帰ってほしい。

 ともあれティンが運んだベトナムの風は、さわやかで時に強くたくましく、優しくてそして温かい。

角谷 幸子 60 大阪府大東市

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