PR

ライフ ライフ

【令和に寄せて】作家・石原慎太郎 新しい歴史創造への決意を

作家・石原慎太郎氏(三尾郁恵撮影)
作家・石原慎太郎氏(三尾郁恵撮影)

 昭和という波乱に満ちた長い時代の本質は、昭和天皇と言う現人神「あらひとがみ」と称されたファナティックな天皇観を核にしたある意味で狂気に満ちた時代だった。

 敗戦によって新しい為政者は天皇に自ら人間宣言をさせ国家を支配してきた虚妄は終わったがその跳ね返りとして、敗戦後にわれわれが味わわされた戦争の緊張と恐怖に続く、屈辱と荒廃の体験は私を含めて今日既に老齢な多くの国民の共通した記憶としてそれぞれの人生に深く刻みこまれている。そしてそれは今回退位された上皇さま、上皇后さまにおいてもそうに違いない。

 それはわれわれ同世代を繋ぐ貴重なアイデンティティーであって、われわれよりも若い世代には欠落している体験に違いない。ということはこの私自身と今回、身を引かれた両陛下との心的な強い繋がりを新しい世代は持ちにくいのではなかろうか。

 その心的な誤差がこれから予想される国家の難事に際して、どれほどの国家としての一体感を醸し出すことができるものだろうか。

 かつて天皇を現人神として奉った過剰なファナティシズムは、戦争で倒れて死ぬ兵士に末期の言葉として「天皇陛下万歳」を唱えさせたが、天皇を国家の核とした当時のようなファナティックではあっても強固な一体感が将来、予測される国家の難事において再び体得されることが有り得るものだろうか。

 令和という新しい時代が幕を開けたが、昭和に継ぐ平成を経て波乱動乱の昭和が今では遥か過去のものとなり、動乱の故に造成された異形ではあっても、死をも賭した天皇を核とした結束感と一体感は今後、国家そのものの意思として再び表示されることは到底有り得まい。

 携帯電話やパソコンが象徴する断片的で浅薄な情報を基にした常識や情報が真の思索思考に繋がる訳もなく、政治家も官僚も歴史に対する長い視点を持ち得ず国家の大計なるものの断片すらうかがえない。

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ