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今も謎めく「万葉集」 ネット時代に響く「歌のアルバム」

江戸時代のものとみられる万葉集の写本(九州国立博物館提供)
江戸時代のものとみられる万葉集の写本(九州国立博物館提供)

 新元号「令和」の典拠となった日本最古の和歌集「万葉集」への注目度が高まっている。第34代とされる舒明天皇(629年即位)の時代から、天平宝字3(759)年に至る約130年間に詠まれた4500首余りが全20巻に収められている。今も解明されていない謎を抱えながら、多様性が息づく「歌のアルバム」として現代人の心を揺さぶる。(海老沢類)

 万葉集は額田王(ぬかたのおおきみ)や柿本人麻呂、山上憶良(やまのうえのおくら)らが代表的歌人で、最も多くの歌を残した大伴家持(やかもち)が編纂(へんさん)に関わったとされる。

 かな文字が生まれる前の書。日本語の音を漢字で示す難読な「万葉仮名」で表記され、いまだに読みが定まっていない歌もある。いくつもの謎が今も研究者をひきつけている。

 「折々の個人の思いが表現された歌のアルバム。感情や情緒を主観的に表現した日本最古の叙情詩集ともいえます」と話すのは、明治大の山崎健司教授(日本上代文学)。万葉集全体を貫くキーワードとして「多様性」を挙げる。

 歌の内容は、宮廷祭式などの晴れの場での公的な歌を多く含む雑歌(ぞうか)、男女の恋愛を扱う相聞歌(そうもんか)、死者を悼む挽歌(ばんか)の3つに大別される。ただ、形式は短歌だけでなく長歌も多い。作者も皇族や中央の官人が中心だが、九州の防備にあたった防人(さきもり)や一般民衆もいる。地方で詠まれた歌も配され、感情を素朴に率直に表現した歌も目立つ。

 「恋の歌と一口に言っても、妻や恋人と離れて暮らす切なさを詠んだ中央の官人の歌もあれば、妻と床をともにするうれしさを単刀直入に歌った地方の民謡風の『東歌(あずまうた)』もある。社会階層や中央と地方といった差異を意識しつつ、多様な表現を網羅しようとした意図が感じられる」と山崎教授は話す。

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