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【夜間中学はいま】(4)「消えた子供」が見つけた命綱

 それから3年。平成26年4月中旬、母親が亡くなった。その十日後、山崎さんは夜間中学の門をくぐった。「もし母がいたら通えていたか…。いないから通えている。考えると苦しくなる」。だが母親が口にした言葉があるから、今日も学校に行こうと思える。

質問の嵐

 学校に通えなくなった山崎さんは住民票を移さずに転居していたため、学籍は除籍され、住民票も抹消されていた。夜間中学への入学手続きをとる際に分かったことだ。

 9年ぶりの学校生活は、緊張の中で迎えた。授業を受けた初日、年配のクラスメートが大勢いたことに驚いた。山崎さんは日本人の生徒で最年少。小柄なせいか、少女のようなあどけなさが残る。「当てられたら、どうしよう」と、先生と目が合わないように下を向いていた。だが、ほかの生徒たちは先生が返答に困るほど矢継ぎ早に質問を投げかけた。「小学校に行っていた頃には見たことのない光景に圧倒されて…。新鮮でした」。生き生きとした表情のクラスメートから「間違うことは恥ずかしいことでなく、大事なことだ」と学んだ。

 山崎さんの知らない時代を生きてきたクラスメートは、人より苦労の多い人生をさまざまに語ってくれた。戦争を体験した人の生の声も初めて聞いた。自分と同じように、義務教育を受けていない後ろめたさ、悔しさなど複雑な思いを重ねてきた人たちだ。「学校に通うことは夜間中学生にとって『当たり前』ではなかった。みんながどんな思いで夜間中学に入ったのかを考えると、切なくなります」

 「学び」とは何か。人としてのあり方や生き方も夜間中学で学んだ。

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