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鬱病や発達障害の就労支援 大人の引きこもり対策にも

キズキビジネスカレッジで打ち合わせをする安田祐輔さん(左)と、林田絵美さん=東京都新宿区
キズキビジネスカレッジで打ち合わせをする安田祐輔さん(左)と、林田絵美さん=東京都新宿区
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 「単純作業じゃない仕事がしたい」「いったん辞めても、離職期間を前向きに」-。鬱病や発達障害がある人たちの職業に、もっと多様性をもたせる新たな就労支援の学校が4月に東京に誕生した。スタッフの中には当事者もいて、「それぞれの特性を生かした働き方ができるように」と、経験者の視点を生かしたプログラムも予定。社会問題としてクローズアップされている「大人のひきこもり」対策につながることも期待されている。 (文化部 津川綾子)

多様な専門を学べる

 キズキビジネスカレッジ(東京都新宿区)は、鬱病や発達障害のある人が、一般企業への就職やフリーランス職としての自立を目指すための学校だ。

 鬱病や発達障害は日常生活に困難があると判断された場合、公的な福祉の対象となる。キズキビジネスカレッジの事業もこれに基づき「就労移行支援事業所」として事業を行う。障害福祉サービスのため、利用は市区町村に利用申請をし、支援の必要があると認められた人に限られる。

 同カレッジの特徴は、ある程度高度で、多様なビジネススキルの学習機会を提供する点だ。これまで就労移行支援事業所では、軽作業や事務補助など比較的簡単な技能訓練が提供されたり、高度であっても種類が少なかったりし、選択の幅が限られていることが多かったという。

 そこで、同カレッジは、会計や財務分析、プログラミングやWEBデザインなど多様な専門科目をそろえた。複数の科目から、その人の障害の特性に合う専門スキルを選び、習得するイメージだ。

離職期を成長の時間に

 「鬱病や発達障害で仕事を離れた人に話を聞くと、(精神障害者福祉)手帳を持っているけれど、単純作業じゃない仕事がしたい、という声があった。ビジネスで活躍したいと考えている人もいる」と、同校を設立した「キズキグループ」(渋谷区)の代表、安田祐輔さん(35)。キズキは中退・不登校の人のための学習塾の運営や、発達障害のある人への支援事業を行ってきた。

 「(カレッジで学ぶことで)離職期間を成長のための大事な時間だととらえてもらえたら」と安田さん。

 そう考える背景には、自身の過去の経験がある。安田さんも発達障害があり、総合商社勤務時代に鬱病で休職したことがある。「同期が出張したと聞くと、置いていかれたように感じ、ネガティブ思考にどんどん陥って、ますます鬱や引きこもりが深まっていった」

 離職期間を希望をもって前向きに過ごすことができれば、そんな「負の循環」に陥らずに済み、ひいては今、社会問題になっている大人のひきこもり対策にもつながる可能性もありそうだ。

できないことを理解する

 国は昨年4月から障害者の法定雇用率の算定対象に発達障害者を含む精神障害者も加えた。就職には追い風が吹くものの、ミスマッチによる離職もあり、定着率の向上も課題になっている。

 そこでカレッジでは、臨床心理士らによる「自己理解講座」に力を入れる。「なぜ前職の会社とマッチングしなかったんだろう、という点を洗い出し、自分は何が苦手で、何を避けて、何を努力すればいいかということを自己理解してもらう」(安田さん)。

 例えば、シフト制の勤務が苦手ならその業界は避け、柔軟な働き方ができる業界を想定し、そこで必要なスキルを身につけることも可能だという。また職場で起こる意思疎通のつまずきも、あらかじめ自己理解をしておくことで、ある程度解消できることがある。

 カレッジの責任者、林田絵美さん(26)も発達障害がある。公認会計士の資格を持ち、昨年6月まで大手監査法人に勤務していた。林田さんは、「発達障害の人の『普通』と、その他の人の『普通』の間に起こりがちな不一致をパターンで理解する、そんな授業も予定している」と話す。自身や他のスタッフの経験を生かしながら、カレッジに来る人の職業選択の幅を広げていきたいという。

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