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【話の肖像画】NIEコーディネーター・関口修司(63)(1)

(三尾郁恵撮影)
(三尾郁恵撮影)

 ■新聞は優れた「教材」

 〈40年近く教壇に立ち、平成28年4月から、教育に新聞を活用する活動「NIE」を推進する日本新聞協会NIEコーディネーターを務める。教師時代には、新聞を使った授業をいち早く始め、学校だけではなく地域を巻き込んだNIEも展開した〉

 今月1日、新元号が「令和(れいわ)」と発表された際、新聞の号外が話題になりましたよね。新聞はまだまだ存在感があります。インターネット社会ですが、新聞は教育的な役割が非常に高く、資料性も高い。新聞にはきちんと取材して書かれた信頼性の高い記事が載っています。フェイクニュースに振り回されないためにも情報の質を判断し読み取る力をつけることは非常に重要です。私が実践してきたNIEは、教師が新聞記事を用意して授業で活用していく方法でした。これからは与えられた新聞による授業だけではなく、子供たちが日常的に自ら新聞を開いて調べていくことも学習になります。新聞が身近にある環境を作っていくことが大切です。

 「授業と子供が新聞を読むことは別だ」という人もいますが、自ら新聞を読む子供は、授業の吸収力も、集中力も、意欲も全く違います。教師がいくらていねいに教えても子供が吸収できる状況でなければ指導に限界があります。スポンジのように吸収できる子供に育てれば、学んだことを栄養にしてくれます。

 〈校長時代、週に1度、朝学習の時間の15分間を使って、新聞を読んで好きな記事を切り抜き、コメントを書く「NIEタイム」を取り入れた〉

 朝読書を取り入れていた学校が多いので、それと同じように、子供たちに新聞に親しんでもらおうと考えて始めました。最初は新聞の開き方、たたみ方から教えましたが、続けていくうちに成果が予想をはるかに超えました。低学年の子供に難しい記事は分からないだろうと思っていても、「テレビのニュースを見たから分かる」と言うのです。ちゃんと複数のメディアを利用しているんですよ。読めない漢字があっても、ひらがなや読める漢字をつなげて意味を文脈から推測して理解します。少し難しいことを与えた方が子供は意欲的に取り組むのです。それを繰り返していくことで、スポンジのような柔軟で吸収しやすい子供が育っていくんです。

 NIEタイムでは、1、2年生は写真を、3、4年生は写真と見出しを中心に記事を選びます。5、6年生は文章も読むようになります。教師が選んだ記事ではなく子供に自分で選ばせることがポイントです。新聞は難しそうに見えますが、写真や幅広いジャンルの記事が載っています。子供にはさまざまな興味の対象があります。新聞は間口が広いので、何かしら子供の興味に引っかかる箇所があるのです。新聞に日常的に親しませ、子供の学びを少しずつ変えていくことが重要で、それがNIEの可能性を広げていくと思っています。(聞き手 大渡美咲)

【プロフィル】関口修司

 せきぐち・しゅうじ 昭和30年、東京都新宿区生まれ。学習院高、東京学芸大卒。都内の小学校5校で教員、教頭を務めた後、北区立王子第3小、同区立東十条小、同区立滝野川小の3校で校長として勤務。全国新聞教育研究協議会理事長、都小学校新聞教育研究会長を歴任。退職後の平成28年4月から現職。

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