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カリフォルニアワインが放つ多彩な魅力 ~バイザグラスで広がる楽しみ(2)~

 カリフォルニアワインが進化を続けている。変化に富んだ地形や土壌、複雑な気象条件に加え、ワイン作りの伝統を継承しながら、醸造学などの学術研究や最先端技術、高い環境意識、食の流行を柔軟に取り込んでいる。

 「お気に入りが必ず見つかる」といわれるカリフォルニアワイン。レストランなどでも、さまざまなワインを気軽に楽しめるスタイルとして、1杯から注文できる〝バイザグラス〟が定着している。個性豊かな造り手たちが生み出す魅力を4回にわたって紹介する。

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〈選ぶ醍醐味〉 赤か白か。そうだ、カリフォルニアワインにしよう

 カリフォルニアワインと聞いて、どのようなイメージを思い浮かべるだろうか。広大な畑やパワフルな果実味、ワイナリー観光、プレミアムワイン…。きっと、どれも正解。自由で革新的な気風が、さまざまな味わいと楽しみ方を作り出している。〝多様性〟は、まさにカリフォルニアワインの代名詞だ。

◇樹齢100年 ジンファンデルの古木が生み出す複雑さ

 「NO WINPY WINES ALLOWED(軟弱なワインは、いらない)」。ソノマ郡ソノマに位置するワイナリー、レーヴェンスウッドのテイスティングルームには、ワイン造りの信念がこう掲げられている。

 レーヴェンスウッドは1976年、ジンファンデルの父と呼ばれるジョエル・ピーターソンさんが創業した。注目したのは、ジンファンデルの古木。当時人気だったホワイトジンファンデルのような軽い(弱い)スタイルではなく、果実味やタンニン、長い余韻を楽しめる力強さとエレガントを兼ね備えたワインを追い求めた。

起源不明だったジンファンデル。DNA調査などから、クロアチアのトリビドラグ種やイタリアのプリミティーヴォ種と同じであることが判明した
起源不明だったジンファンデル。DNA調査などから、クロアチアのトリビドラグ種やイタリアのプリミティーヴォ種と同じであることが判明した
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 レーヴェンスウッドは、7つのユニークな畑を所有している。中でもオールドヒルという地区の畑は、その名の通りソノマで最も古い。1880年ごろに植えられたと推定されるジンファンデルをはじめ、ブドウ品種26種類の混植が確認されている。畑と木々の力を最大限にいかした単一畑産シリーズは、野趣あふれる第一印象に加え、味わいや深み、複雑性が濃縮され、全米や欧州でも愛好者が多い。

中央が「オールドヒル ジンファンデル ソノマ・ヴァレー 2016」。ジンファンデルが75%。アリカンテ・ブーシェなどブドウ10種とブレンドしている
中央が「オールドヒル ジンファンデル ソノマ・ヴァレー 2016」。ジンファンデルが75%。アリカンテ・ブーシェなどブドウ10種とブレンドしている
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 ワインエデュケーターのマイク・スミスさんは、「古木は収穫量も少ないが、熟成すると複雑で強い印象を増す。かといってカベルネ・ソーヴィニヨンほど重くない。食事にも合うし、ちびちびと飲むにもいい。オールマイティで初心者にもおすすめ」と魅力をアピールする。

◇フランス人巨匠ワインメーカーが造る至極のメルロー

 「ワイン造りに大切なのは土、テロワール(土地)、地形、気候。火山性土壌を中心に区画ごとに変化する土壌。海からの影響を受けた朝夕の気温差と日照時間。いろいろな向きや角度で起伏する土地…。ソノマほど、おもしろい場所はない」

 同じくソノマ郡アレキサンダー・ヴァレーにあるワイナリー、ヴェリテ。ロワールやボルドーで経験を積んだフランス人ワインメーカー(醸造家)のピエール・セイヤンさんは土地の魅力を熱く語る。

ボルドーを超えるワイン造りを目指してきたピエールさん。テロワールの個性を見極め、可能性を吹き込む絶妙なブレンドで〝奇才・巨匠・伝説〟などと称される
ボルドーを超えるワイン造りを目指してきたピエールさん。テロワールの個性を見極め、可能性を吹き込む絶妙なブレンドで〝奇才・巨匠・伝説〟などと称される
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 ヴェリテは、大手のワイナリー、ケンダル・ジャクソンの創始者が設立。醸造担当として招聘されたピエールさんは、カリフォルニアでボルドータイプのワインを造り続けてきた。

 ワインはメルロー主体の「La Muse(ラ・ミュゼ)」、カベルネ・カーヴィニヨン主体の「La Joie(ラ・ジョワ)」、カベルネ・フラン主体の「Le Desir(ル・デジール)」の3種類。ワイン評論家、ロバート・パーカー氏による評価法〈パーカーポイント〉で100点を幾度となく獲得し、高い評価と名声を得ている。

 ピエールさんのおすすめは、「La Muse 2011」(メルロー89%、マルベック7%、カベルネ・フラン4%)。「上品さがあり、フレンチオークの香りやミネラルが感じられる。糖度もアルコールも高くなく、バランスがいい。赤い新鮮な果実感がしっかり残り、日本料理とよく合う」と話す。

◇ナパ・メルロー立役者の挑戦 ソーヴィニヨン・ブランの存在感

 鴨が描かれたエチケット(ラベル)でおなじみのダックホーン・ヴィンヤーズ。ダックホーン夫妻が1976年、ナパ・ヴァレーのセントヘレナに設立した。

 夫妻は、ブレンド品種でしかなかったメルローに注目し、あっという間に人気ワインに押し上げた。しかし、米国映画『サイドウェイ』(2004年)の大ヒットでメルローは受難の時代を迎える。「メルローはクソまずい-」。主人公の台詞の影響から、人気は急降下。多くのブドウ農家が、畑からメルローを引き抜き、ピノ・ノワールなどへ植え変えた。

ダックホーンメルローを有名にした畑、スリーパームス。川の土砂が形成した扇状地に広がる(同社提供)
ダックホーンメルローを有名にした畑、スリーパームス。川の土砂が形成した扇状地に広がる(同社提供)
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ブドウ畑に囲まれるダックホーン。ワインメーカーのレネ・アリさん(右)は、伝統への強いこだわりで次世代を牽引する(同社提供)
ブドウ畑に囲まれるダックホーン。ワインメーカーのレネ・アリさん(右)は、伝統への強いこだわりで次世代を牽引する(同社提供)
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 醸造を担当するレネ・アリさんは、「真剣にメルロー造りに取り組んでいた農家が残り、高品質のメルローが残った」と皮肉ともいえる結果を振り返る。今では再び、メルローは人々に愛され、ダックホーンを代表するワインであることも変わりはない。

 一方でダックホーンは1982年、セミヨンを20%ブレンドしたソーヴィニヨン・ブラン、さらに創業35周年を迎えた2012年にはシャルドネをリリースした。

ダックホーンを代表するメルロー(左)。トロピカルフルーツを連想させるソーヴィニヨン・ブラン。9割はステンレス、残りはフランス産樽で発酵・熟成させる(同社提供)
ダックホーンを代表するメルロー(左)。トロピカルフルーツを連想させるソーヴィニヨン・ブラン。9割はステンレス、残りはフランス産樽で発酵・熟成させる(同社提供)
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 レネさんは、「現在は17種類のワインを手がけている。中でもソーヴィニヨン・ブランは特に重要。セミヨンをブレンドし、なめらかで風味豊か。流行に終わらせず、ワイナリーが歩んできた道や伝統をしっかりと反映させていきたい」と意気込む。ダックホーンの白が、存在感を増している。

◇オークヴィルAVA(米国政府承認ブドウ栽培地)のカベルネ・ソーヴィニヨン

 ナパ・ヴァレーの中心、オークヴィルにワイナリーを構えるラッド オークヴィル エステート。オーナーは2014年まで高級デリ『ディーン&デルーカ』のオーナーだったことで知られる。カリフォルニアワインの代表ともいえるオーパス・ワンで醸造経験を積んだフレデリック・アモンズさんがワインを造っている。

ラッドのワインメーカー、フレデリックさん。カーブの門は幸運の象徴とされる馬蹄型
ラッドのワインメーカー、フレデリックさん。カーブの門は幸運の象徴とされる馬蹄型
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 ナパは、サンフランシスコ湾に隣接するサンパブロ湾から吹き込む冷風で、夜から早朝にかけて霧が立ちこめる。オークヴィルは海から少し離れているが、やはり影響は大きい。風と霧は、ブドウの早熟を防ぎ、長い熟成期間を経て、糖と酸のバランスを絶妙に変化させる。数々の名門ワイナリーが点在し、最高品質のカベルネ・ソーヴィニヨンが栽培されている。

 ラッドには、カベルネ・ソーヴィニヨンの畑が2つある。1つは火山性で鉄分が多い土壌。西陽が強く入り、太陽がたっぷりと降り注ぐ。骨格やタンニンがしっかりした男性的なブドウができあがる。もう一つの畑は扇状地で、土は細かく深い。酸味が繊細な女性的ワインにつながる。その2つをブレンドするのがラッド流だという。

ラッドのワイン3種
ラッドのワイン3種
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 右の「2014 ラッド オークヴィル エステート・レッド ナパ・ヴァレー」はきれいなタンニンが特徴で、ラッドが追求する透明性を表現している。中央は、ナパを有名にした品種への敬意を表した「2014 ラッド サマンサズ カベルネ・ソーヴィニヨン オークヴィル ナパ・ヴァレー」。2代目オーナー、サマンサ・ラッドさんの名前が入っている。そして、左は「2016 ラッド ソーヴィニヨン・ブラン マウント・ヴィーダー ナパ・ヴァレー」。高所では赤ワイン品種が栽培されることが多い中、白の品種栽培地としては珍しいという。

 ラッドのワイン造りは、コロラド州で生まれ、フランス・ブルゴーニュ大学で学んだフレデリックさんの挑戦でもある。ボルドーワインにアイデアを得て、畑の育成はブルゴーニュの良さを取り入れる。そして、果実本来の味をいかすイタリアワインのニュアンスを加える。

酪農用タンクからヒントを得た特注円錐台形タンクは、パンチングの加減やさまざまな抽出方法を試すことができる(左)。原点回帰ともいえるアンフォラ(壺)も。カベルネ・フランなどが仕込まれ、酸化の進行を研究している
酪農用タンクからヒントを得た特注円錐台形タンクは、パンチングの加減やさまざまな抽出方法を試すことができる(左)。原点回帰ともいえるアンフォラ(壺)も。カベルネ・フランなどが仕込まれ、酸化の進行を研究している
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 「手をかけすぎない野生の果物には独特のすばらしさがある。米国もラッドもワイン造りの歴史は浅いが、ようやくテロワールを表現できる時期が来た。土地をより良くし、次世代につながるワイン造りを目指していきたい」

 今や畑の木々は樹齢24、25年と成熟し、可能性の開花が楽しみな時期を迎えている。フレデリックさんは、伝統に米国らしい革新を重ねた醸造を目指している。

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【カリフォルニアワイン バイ ザ グラス プロモーション 開催中】

 カリフォルニアワイン協会が主催する「カリフォルニアワイン バイ ザ グラス プロモーション2019」が5月31日(金)まで、全国各地のレストランで開催されている。プロモーションは毎年実施されており、今年で25回目を迎える。

 米国はイタリアやフランス、スペインに続いて世界第4位のワイン生産量を誇り、国内の約9割がカリフォルニア州から産出されている。バイザグラスではワインを1杯から注文でき、米国では気軽にワインを楽しめるスタイルとして定着している。

 プロモーション中、飲食店では料理に合わせたカリフォルニアワインを5種類以上用意。珍しいワインを選べるほか、ボトルでは高価で手が届かないプレミアムワインを気軽に堪能することができる。

 参加飲食店などの詳細は、特設ウェブサイトへ。

 第3回の掲載は、4月22日(月)。

(提供 カリフォルニアワイン協会)

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