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【書評】ノンフィクションライター・河合香織が読む『胎児のはなし』最相葉月、増崎英明著

『胎児のはなし』最相葉月、増崎英明著
『胎児のはなし』最相葉月、増崎英明著

 ■どう生かされ、何継ぐか

 ふふふふ。はははは。これほどまでに笑い声が多用されている対談本は珍しいだろう。

 産婦人科医として約40年の経験を持つ増崎英明・長崎大学病院長が先生役となる本書だが、胎児を見ることができ、知ることができたときの大きな驚きと喜びが語られていて、読んでいる方まで愉快になってくる。生徒役の最相葉月氏は生命科学を長年取材してきたノンフィクションの名手で、先生をうならせ、目を輝かせる深遠な質問で切り込む。

 生命科学の話題はとかく重くなりがちだが、2人の対談は笑いにあふれ、愛情に満ちている。全編を通じて流れるのは「出産は楽しい!」という思いだ。

 出生前診断にまつわる技術が進み、生命倫理に関する議論の必要性が問われている。けれども、当事者なのに取り残されているのが胎児の存在だ。本書はそのような疑問から、胎児とはそもそもどんな存在なのかをテーマに据えた。

 子宮で胎児は水生生物として生きて、笑ったりしかめっ面をしたりとさまざまな表情をする。そして1日に尿を700ccもして、それを自分で飲む。レム睡眠が長く、それは夢ばかり見ていることを意味するのだそうだ。また、父親のDNAが胎児を介して母親に入っているとも。夫婦は他人だと思っていたが、実は血の絆ができているというのだからショックである。

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