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【彰往考来 新時代のヒストリア】幕末維新から平成、そして未来へ-近現代史と皇室を考える 所功・京都産業大名誉教授(6)

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所功さんと妻、京子さん(所さん提供)
所功さんと妻、京子さん(所さん提供)

生きた歴史の宝庫・伊勢

 昭和41(1966)年春、文学部助手として赴任した皇學館大にはあこがれの日本古代史研究者、田中卓(たかし)教授(のち学長)をはじめ、国史・国文の大家がたくさんおられました。またここのキャンパスは故郷・岐阜県に近い三重県の伊勢市にありますから、週末には帰省して母の手助けをすることもできました。

 奉職の3年後に妻(京子さん)とスピード結婚しました。彼女は京都女子大の史学科を卒業してからソーシャルワーカーの資格を取り、ある病院に勤務した後、母校の大学院で平安貴族社会の研究をしていました。

 ですから、田舎住まいや農作業なんかできないと思っていたところ、むしろ私の実家や故郷に喜んで溶け込み、母にとって嫁というより実の娘のようになり、そのおかげで私は研究と教育に専念することができました。妻にはまったく感謝のほかありません。

 私の文献的な歴史研究は名古屋大でスタートしましたが、皇學館大に勤めてから古代以来の伝統を体感することができました。とくに伊勢神宮で昭和48年に行われた第60回式年遷宮は、数年前の準備段階から完成後にいたるまでの祭儀を継続的に間近で見聞させていただけた。これは、伝統文化を保存し継承してゆくのに、どれほど多くの知恵と工夫が必要かということを具体的に学ぶ機会となりました。

 しかも、そこで展開される祭儀に用いられる衣装や調度などは、私の専門とする平安時代の宮廷儀式や行事にきわめて似ています。ですから、文献史料と伊勢神宮での見聞を照らし合わせることにより、実によく理解できるようになったと思います。

思わぬ転機

 〈昭和50年の少し前、所さんに転機が訪れる。文部省から「初等中等教育局の教科書調査官(社会科)に」との就任要請を受けたのだ〉

 文部省からは「ぜひ来てほしい」と言われたのですが、私は穏やかな伊勢に永住するために土地を買った直後でした。お断りしようと思って田中先生に相談しましたところ、先生から「ここにいてほしいが、東京へ行って全国を見渡せる研究者になるほうが重要だ」と言われ、「いばらの道」に進む決意をしました。

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