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漫画ホテルや入店有料 プレミアム書店が続々

「マンガ アート ホテル トーキョー」運営会社の共同代表を務める、御子柴雅慶さん=東京都千代田区神田錦町
「マンガ アート ホテル トーキョー」運営会社の共同代表を務める、御子柴雅慶さん=東京都千代田区神田錦町
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 紙の本離れが加速する出版不況下で、新しい本との「出会い」を提案するユニークな書店が続々とお目見えしている。宿泊中に漫画をたっぷり読めて、気に入った本を購入できるホテルがオープンし、入場料のある書店も話題を呼んでいる。ゆったりとした非日常を過ごせるぜいたく感と、インターネットの検索では得難い本との偶然の出会いが魅力となっている。

 (文化部 海老沢類、本間英士)

じっくり「漫泊」

 本の街、東京・神田神保町にほど近い路地裏のビルの入り口に、「漫泊」という聞き慣れない単語が記されている。このビルの2フロアを使い、2月に開業した「マンガ アート ホテル トーキョー」の看板だ。

 「20世紀少年」のようにすでに世界で名の通った漫画もあれば、東日本大震災後の宮城・石巻を描く「リバーエンド・カフェ」のような新しい作品もある。白が基調の清潔感ある室内に約5000冊もの漫画が並び、所々に洞穴のようなベッドが設えられている。宿泊客はベッドに寝転がって好きなだけ漫画を読み、気に入ったものは購入できる“泊まれる書店”だ。

 「宿泊された方の多くが外に出ず、一日中、ずっと漫画を読んでいます」と運営会社「dot」の共同代表、御子柴(みこしば)雅慶さん(33)は話す。

 御子柴さん自身、大の漫画好き。新たな魅力を備えた宿泊施設を-と考えていたとき、世界の「共通言語」である漫画を活用する案が浮かんだ。選書も御子柴さんが中心となって手がけ、一冊一冊にコメントを添えた。ジャンルにとらわれず、あえてばらばらに並べ、偶然の出会いを演出する。御子柴さんは「普段スマホを使うときのように細切れの時間で忙しく読書するのではなく、漫画の世界だけにどっぷりと浸れるぜいたくな時間を満喫してほしい」と話す。

 宿泊料金は平日が4800円から。3月中旬以降の稼働率はほぼ100%という。ゴールデンウィーク中もすでに予約で埋まっている日もあり、需要の受け皿となっている。客の年齢層は20~30代が中心で、とりわけ女性が多い。米国を筆頭に、欧州やアフリカ、アジアの各国からも問い合わせや予約が入り始めているという。

保養所を改修

 出版科学研究所の調べでは、昨年の紙の出版物の推定販売金額は約1兆2921億円にとどまり、ピークだった平成8年の半分を割り込んだ。スマートフォンなどの浸透で紙の書籍や雑誌離れが進む。そんななか、じっくり読書に浸れる時間を提供できる宿泊施設の活用が、新たな読者を開拓する手段として注目されている。

 神奈川県箱根町・強羅のブックホテル「箱根本箱」もその一つ。出版取次大手の日本出版販売(日販)が所有していた保養所を改修し、昨年8月に開業した。露天風呂を備えた18の客室などに、日販のブランド「YOURS BOOK STORE」が中心となって取りそろえた約1万2000冊の本を並べる。すべて購入可能だ。作家やデザイナーら著名人が選ぶ「あの人の本箱」というコーナーもある。

 今年初めには稼働率が90%に迫るなど評判は上々。主な客層は20代から50代と幅広く、外国からの利用者も目立つという。「日常と非日常、どちらの時間も豊かにするような『衣・食・住・遊・休・知』というテーマで選書している」(日販の担当者)。本と生活が密着した心地良い空間を作り、読者の掘り起こしにつなげている。

 一日中いられる本屋

 「入場料」付きの書店も話題を集めている。昨年12月、東京・六本木の青山ブックセンター跡地に開店した書店「文喫(ぶんきつ)」は、1500円(税別)の入場料が必要だ。

 「本屋が次々となくなる中で、人と本をつなぐ場所を残したかった。そのための試みの中で、『入場料』というキーワードが浮かびました」。文喫を手掛ける日販の武田建悟さんは開店の狙いをこう語る。

 入場料を取る分、それだけの“付加価値”も提供する。約460平方メートルの売り場に並ぶ蔵書は約3万冊。学術書からアート系、漫画まで、つい手に取ってみたくなる本が並び、コンシェルジュにおすすめの本を教えてもらうこともできる。コーヒーが飲み放題で、ハヤシライスなど軽食も注文できる。武田さんの目標は、「仕事のアイデア出しからデートまで、一日中いられる本屋」だという。

 客足は盛況で、土日は入場制限がかかるほど。「夜は(客が)比較的少ない。狙い目です」と武田さん。今月から、平日午後7時以降の入場料が1000円(税別)になる新プランも導入した。

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