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狸に化かされる宴席料理「狸食(たぬくい)」を現代に復活 兵庫・夢前町

白米の下から11種の総菜が現れる「狸食(たぬくい)」。狸に化かされた気持ちになる料理として名付けられた。上山旅館など町の3施設で提供される
白米の下から11種の総菜が現れる「狸食(たぬくい)」。狸に化かされた気持ちになる料理として名付けられた。上山旅館など町の3施設で提供される
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 歴史ファンならたまらない戦国時代の宴席料理や、“100年前の日本酒”を現代に蘇らせたい-。兵庫県姫路市の北部にある夢前(ゆめさき)町の人たちが立ち上げた「夢前ゆめ街道づくり実行委員会」が、歴史と食をテーマとした町おこしに挑んでいる。今月中旬には、大阪の都心、グランフロント大阪でイベントを開き、人々の「田舎愛」を呼び起こすべくアピールしている。(文・木村郁子/写真・渡部恭晃)

 今ものどかな里山の風景が広がる夢前町だが、一方で平成27年には中国自動車道の夢前インターチェンジが開通し、交通の便はよくなっている。実行委員会は、同町で農業や食品加工業、旅館業に携わる人たちが発足させた組織で、地域活性プロジェクトに取り組んでいる。

 実行委がまず“目をつけた”のが、戦国期に播磨・備前・美作(みまさか)の守護として勢力を誇った赤松氏の存在。弘治元(1555)年、赤松氏の居城置塩(おじお)城で、城主赤松義祐(よしすけ)が飾西(しきさい)郡の領主、才伊三郎を招いて開いた宴席の際に出されたという料理「狸食(たぬくい)」だ。

 一見すると、ただ白いご飯が入っただけの茶碗(ちゃわん)と、すまし汁。本当に宴席で出された料理なのか? と思いながらご飯を割ると中からコンニャクや大根、高野豆腐、ゴボウなどが顔をのぞかせる。これに薬味とともにすまし汁(だし)をかけて味わうというものだ。

 狸に化かされたような心地で食べると、中から総菜が出てくることから「狸食」。ただし、「当時の趣を残したままシイタケやするめ、鯛など11種の食材をそれぞれに味付けして隠した『現代版狸食』です」と、当時の文献を発見し、再現のきっかけをつくった上山旅館の社長、上山洋一郎さん。最も苦労したのは味付けだったという。室町時代の調味料といえば味噌か塩。醤油やみりんはまだ生まれておらず、熟考の末、味わい深い藻塩を使った。

 どうやって食べればいいのか。「当時の白米は贅沢品。米のおいしさを味わい、次は具材と一緒に。ネギや糸唐辛子などの薬味をのせて。そして最後はだしをかけて、お茶漬けのように召し上がってください」と上山さんが教えてくれた。ひつまぶしのように、食べ進むごとにしみじみと味わいが変化する。

 当時、赤松氏が客を喜ばせようと料理人と考えたサプライズ。おもてなしの心に触れた思いだ。

 また宴会では、日本最古の玉子料理、茶碗蒸しの元祖とも称される「玉子ふわふわ」も出されており、姫路城の前にある玉子かけご飯専門店「たまごや」が「玉子ふわふわ」を再現している。

 このほか、大正から昭和初期に最も酒造りに使われていた酒米を復活させ、当時の酵母菌とともに、100年前の酒造りを行う計画も進んでいる。

 「狸食」は上山旅館などの3施設で、「玉子ふわふわ」はたまごやでそれぞれ4月1日から提供される。

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