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【アート 美】「ラファエル前派の軌跡展」 ラスキンが夢見た改革

ロセッティの名画が並ぶ空間。左から「ムネーモシューネー(記憶の女神)」「祝福されし乙女」「ウェヌス・ウェルティコルディア(魔性のヴィーナス)」(三尾郁恵撮影)
ロセッティの名画が並ぶ空間。左から「ムネーモシューネー(記憶の女神)」「祝福されし乙女」「ウェヌス・ウェルティコルディア(魔性のヴィーナス)」(三尾郁恵撮影)
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 英国が栄華を誇ったビクトリア朝時代(1837~1901年)、社会構造が大きく変化する中で、美術批評家のジョン・ラスキン(1819~1900年)は芸術が果たすべき役割を説き、同時代の芸術家に決定的影響を与えた。生誕200年を記念し、彼が支援したラファエル前派の画家らを中心に、19世紀英国美術の潮流をたどる「ラファエル前派の軌跡展」が東京・丸の内の三菱一号館美術館で開かれている。ラスキンが目指した理想について、同展監修者で美術史家、クリストファー・ニューオル氏に聞いた。(黒沢綾子)

                   

 同展はラスキンが敬愛した偉大な風景画家J.M.W.ターナー(1775~1851年)を皮切りに、ラファエル前派のジョン・エヴァレット・ミレイ(1829~96年)とダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ(1828~82年)、そしてエドワード・バーン=ジョーンズ(1833~98年)らの名画を“核”としている。締めくくりはラスキンの影響を受けた思想家でデザイナー、ウィリアム・モリス(1834~96年)が主導した美術工芸運動「アーツ・アンド・クラフツ運動」。「つまりラスキンの眼を通して19世紀英国美術を概観する趣向です」とニューオル氏。絵画を中心に家具やタペストリーなど約150点が並ぶ。

 24歳の青年ラスキンを一躍有名にしたのが、1843年に発表した『現代画家論』第1巻だ。当時、乱暴でぞんざいだと批判されていたターナーの絵について「描写の真実性が追求されている」と擁護。自然界の絶え間ない動きや変化を、見えるままにとらえようとする先進性を称賛した。

 ラスキン自身が旅先の自然や伝統的建築物を描いた素描なども展示されており、自著で説いた「心を集中して自然に向かう」を実践していたことがわかる。「すべての芸術表現は、神の創造物である自然・物質界を愛する心を吹き込むべきだというのが彼の信念でした」。その思想は、中世美術のような素朴さ、真摯(しんし)さを取り戻そうと絵画改革を掲げたラファエル前派の画家の心をとらえた。さらにラスキンのイタリア美術や建築への深い見識も、彼らの創作に役立てられた。「芸術は、歴史をさかのぼり参照することで、新しい発想や深さ、複雑性を手に入れることができる。ラスキンがいなければ、ラファエル前派は存在しなかったでしょう」とニューオル氏は見る。

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