【夜間中学はいま】(2)20年通って卒業…仲間に感謝

夜間中学は働きながら通学する人や高齢者も多く、一般の中学生と同じペースでの学習は難しい。奈良市立春日中の夜間学級で今月16日に行われた卒業式では、卒業生4人のうち3人が20年にわたって通学を続けた生徒だった。時間をかけ、地道に学び続けた人たちだ。
卒業式は午後6時から。明かりの灯った集会室で式は厳かに進んでいた。「中学校の課程を卒業したことを証します」。榎本克之校長から卒業証書を受け取った陳秋蘭(チン・チュウラン)さん(72)は、腰を90度近く曲げ、深く深く頭を下げた。
中国・南京の診療所で医師をしていた日本人の父親と中国人の母親の間に生まれた陳さん。幼少期には、「日本人の子」と、いじめにもあった。
春日中の生徒の年齢層は10代から80代と幅広く、日本、中国、ネパール、フィリピンと国籍も多様で、異なることが当たり前。陳さんは母校の良さを「いじめがない。差別がない」と表現した。