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【自作再訪】田名網敬一さん「BLOW UP」 都市と肉体が先行した60年代

 《美術家、吉村益信や篠原有司男(うしお)らと親交するなど、前衛芸術との距離も近かった》

 60年代は「都市」と「肉体」の時代だったと思う。高度経済成長で都市に高層ビルが林立する一方、土方巽(ひじかた・たつみ)の「舞踏」などに見るように、肉体は表現の最前線にあった。美術の前衛集団「具体」の白髪一雄(しらが・かずお)のように足に絵の具をつけて描く絵画や、篠原の「ボクシング・ペインティング」(絵の具を塗ったグローブでキャンバスを打ちつける絵画)もそう。肉体が先行し、思考が後からついてくる。

 時代は下り、芸術はそれぞれの分野で成熟し、知的に洗練され肉体は希薄になっていく。混沌の世界から、ツルツルスベスベした世界になった気がする。

 《近年は、幼き日の戦争の記憶や幻想、夢といった、より自らの内面と人生を反映した絵画などを制作し、国内外で高く評価されている。明るくポップな表現世界にはファッション業界も注目。アディダスのブランド「アディダス・オリジナルス」と組んだ特別コレクションが発売されたばかりだ》

 僕の作品を着た人が、街のなかで動く。静止した絵画にはない、一つの表現として面白い。今回のアディダスのマークのように既存のものを応用して作るのも好き。米ポップアートの旗手、アンディ・ウォーホルの「キャンベルスープの缶」みたいにね。

                  

【プロフィル】田名網敬一(たなあみ・けいいち) 1936(昭和11)年、東京生まれ。武蔵野美大卒。60年代からデザイン、絵画、版画、アニメーション、実験映画…と多岐にわたる創作を展開。米ロックバンド、ジェファーソン・エアプレインの日本版アルバムジャケットなどを手掛け、「月刊PLAYBOY」の初代アートディレクターも務めた。京都造形芸術大学大学院教授。

                  

【用語解説】『BLOW UP』(アムズ・アーツ・プレス刊)

 主に1960年代に制作したグラフィックワークを網羅した作品集で、2001年に出版された。

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