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【高見国生の認知症と歩む】(12)どんな最期を迎えたいか

 医師が腎臓病患者の女性(44)に対して人工透析治療をやめる選択肢を示し、透析治療中止を選んだ女性が1週間後に死亡したことが、大きな問題になっています。

 この女性はまだ若く、意識もしっかりしていたとみられますが、認知症になった高齢者が意思表示ができない状態で食事が摂(と)れなくなったときなどに、家族が医師から「胃瘻(いろう)をするかどうか?」と判断を求められることがあります。胃瘻とは、体外から胃に直接チューブを通して栄養を入れる方法です。

 87歳の母を介護する一人娘で独身のAさんも医師からそう問われました。医師は、断ったら母親は確実に亡くなるというふうに言いますから、Aさんは、「断れば見殺しにしたように思う」と悩んでいます。しかし、胃瘻をしたために寝たきりで二十数年も生き延びて家族の苦労は大変だったという話も聞き、なかなか結論は見いだせません。

 私は、そんな相談を受けたとき、「胃瘻はしても後悔、しなくても後悔ですよ」と答えます。本人に代わって家族が、「イエス」か「ノー」かを決めるのはとってもつらいことです。しかし医師からは答えを迫られます。人間にとって「死」は避けられないことですが、どんな最期を迎えたいかは人によって異なります。家族は、本人のこれまでの生き方を思い起こして、本人が望むであろうと思われる道を選びます。私は、その決断が正しいと思います。

 昔は食べられなくなったら人生の終わりでしたが、医療技術の進歩が人生の最期を変えました。配偶者や子供にこうした悩みを持たせないために、元気なうち、意思表示ができるうちに、自分の最期の希望を考えて伝えておくことが大切です。

                   

【プロフィル】高見国生(たかみ・くにお) 認知症の養母を介護し、昭和55年に「認知症の人と家族の会」を設立。平成29年まで代表を続け、現在は顧問。同会は全国に支部があり、会員数約1万1000人。

                   

 「認知症の人と家族の会」電話相談 平日午前10時~午後3時、0120・294・456

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