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【改元に思う】国民のメンタリティーに影響する元号

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歴史学者の磯田道史氏(佐藤徳昭撮影)
歴史学者の磯田道史氏(佐藤徳昭撮影)

 □歴史家・磯田道史氏

 元号が変わっても国民生活は変わらないように見えますが、心性(しんせい)、メンタリティーに割と影響しているのではないかと思います。明治は都(みやこ)の位置まで変わったので、もちろん大きく変わりましたし、大正は明治の終わりというイメージが大きかったかもしれませんが、明らかに一時代終わったという虚無感のようなものが、特に若い世代に広がりました。夏目漱石の文学を見てもそうですし、乃木希典の自死ではっきり時代を画する雰囲気がありました。

 では昭和が終わり平成が始まったときはあまり変わらなかったかというと、バブル経済は1989年ごろで終わり、90年代に入って昭和の「峠」感がすごくありました。下り坂の感じというものを実感で持っていると思うんですよね。国内総生産(GDP)の国際的な順位や、1世帯あたりの所得などで昭和の終わりとともに何かが終わって違う段階に行ったという気分はあるような気がしますね。

 元号の国民に及ぼす心理的影響は歴史家の目から見ても大きい。逆に言うと、大きいという経験値があるからこそ、元号を変えることで人の心を一新することをやってきたわけです。

 暦で革命が起きそうになる年、60年ごとにめぐりくる特定の年には元号を変えましたし、災害で気分が沈むと元号を変えることで新しい気分にするということを古くからしてきました。ですから、やっぱり時代が変わると思うんですよ。雰囲気が。この元号の変わりで。

 日本人には御代(みよ)という概念が結構あります。「家」という制度を社会の軸にした期間が長かったからで、将軍でも大名家でも農民でも親から子への代替わりは大きな時代の画期ととらえられ、その総鎮守が天皇の代替わりになってきた。疑似家族的な集団で自分たちを理解する伝統は、薄くなったとはいえ、まだわれわれにある気がしますね。

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