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【風を読む】公正な入試守る大学の「品位」 論説副委員長・沢辺隆雄

 米国で先週、有名大学を舞台にした不正入試が伝えられた。共同電などによると、ボストンの連邦検察がブローカーや親ら計50人を訴追したと発表した。入学先はスタンフォード大やエール大などエリート校が並び、親の中には米女優2人も含まれると話題だ。大学ぐるみの不正はなかったようだが、大学当局者やスポーツのコーチに賄賂が渡り、入試の解答を書き換えるほか、受験生を有望なスポーツ選手であるかのように見せていたという。

 米国の大学はテストの点数だけでなく、社会貢献など多様な観点から丁寧な選考を行うことで知られる。当然、不正防止策は幾重にも取られていただろうから、事件に驚く。日本もひとごとではない。米国の入試は、「一発勝負、1点刻み」の選抜を見直す大学入試改革のお手本とされてきた。東京医科大などで女子や浪人生を不利に扱うほか、寄付金をめぐる不適切入試が発覚している。

 今回のような事件とは異なるが、多様な観点で選考を行うがゆえか、米国の大学では卒業生の子女を優遇するほか、大口の寄付をおさめる受験生を合格させている大学が多いといわれ、是非が議論されてきた。ハーバード大の「白熱授業」で知られるマイケル・サンデル教授著『これからの「正義」の話をしよう』(早川書房)で取り上げられている。

 親が卒業生なら大学の伝統、校風を理解し協力が得られる。同時に寄付金も多く出してくれる期待もある。サンデル教授は議論を進める上で「大学の入学許可を競売にかけては?」と大胆に問う。おそらくそのアイデアは顰蹙(ひんしゅく)を買うとし、「大学の品位の問題」を挙げ、「高値をつけたものに席を売るのは、ロックコンサートやスポーツ大会にはふさわしくても、教育機関にはそぐわない」と指摘する。

 東京医科大の第三者委員会が今月4日に公表した追加調査では、受験生の名前や寄付金額を示す前理事長のメモが見つかり、受験生10人で約1億4千万円に上った。うち7人が入試で優遇された疑いがある。寄付の打診に前理事長から「入学したらドカンと追加してください」とメールの返信もあった。正義には遠く、信頼回復が急がれる。

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