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日本の地域伝統芸能7演目が競演…力強く、華やかに

 各地の地域伝統芸能や古典芸能が一堂に会するイベント「第19回地域伝統芸能まつり」(地域伝統芸能まつり実行委員会、一般財団法人地域創造主催)が2月24日、東京都渋谷区のNHKホールで開かれた。日本の伝統芸能を継承する各地域の保存会等のメンバーたちが7演目を披露。直近10年間で最多の2684人の来場者は、力強く、華やかな各地の伝統芸能の競演に歓声をあげた。

フィナーレを飾る長崎くんち 龍踊(じゃおどり)
フィナーレを飾る長崎くんち 龍踊(じゃおどり)

 日本の伝統的文化の素晴らしさを再発見し、各地域に脈々と受け継がれてきた芸能や伝統文化などを保存・継承することで郷土に親しみと誇りを持つ契機にしてもらおうという取り組み。このイベントは平成12年度から始まり、今年で19回目。毎年さまざまなテーマを設定し、これまで日本全国の183演目が披露されている。

 今回のテーマは「躍る(おどる)~身も、心も、弾む。~」。人々が、喜び・驚き・期待などで生命感にあふれ、躍動する姿には、感謝・願い・祈りといったさまざまな思いが込められている。

 当日は、年末恒例の紅白歌合戦の舞台でもあるNHKホールで、女優の竹下景子さんと、NHKの水谷彰宏アナウンサーが司会を担当し、軽妙なトークで祭りを盛り上げた。また、保存会等の出演者や会の代表者に、普段の稽古で心がけていることや、後継者育成の取り組みなどを聞いた。

「第19回地域伝統芸能まつり」の詳細はこちら

盛岡さんさ踊り(岩手県・盛岡市)

 「サッコラ チョイワヤッセ」の掛け声がリズミカルな太鼓の音色とともに、会場に響き渡った。「サッコラ」は漢字で書くと「幸呼来」で、祭りに参加している人たちに幸せをおすそ分けするという意味があるという。

 この「さんさ踊り」は、藩政時代から受け継がれてきた踊りで、地域ごとに踊りや太鼓のリズムが異なり、盆踊りとして盛んに踊られてきた。昭和53年からは踊りを統一した「盛岡さんさ踊り」が毎年8月1日から4日まで開催され、今ではすっかり盛岡の夏のメインイベントとして定着している。

 町内、職場、学校と老若男女のさまざま団体が参加して、4日間で、踊り手、笛、太鼓あわせてのべ3万5000人ほどの群衆となる。勇壮な太鼓パレードと優雅な舞いが、盛岡の夏の夜を彩る。2014年には「和太鼓同時演奏の世界記録」を奪還し、再び世界一の太鼓の祭りとなっている。

熊本新町獅子舞(熊本県・熊本市)

 赤と黄色の獅子舞が、ドラと笛の音に合わせて力強く舞う。獅子頭の重さは7キロあるというが、2頭の獅子が大きく首を振って踊る姿は勇壮だ。実は、「牡丹の舞」は、雄と雌が花の周りで戯れる色気のあるストーリでもある。

 熊本新町獅子舞が誕生したとされるのは慶長12(1607)年の熊本城築城の時。熊本新町は、町人町として生まれ、その住民がお祝いとして奉納したのが新町獅子舞のはじまりと伝えられている。 後に、江戸中期の享保年間から藤崎八旛宮の秋季大祭に奉納されてきたもので、地域の人々の尽力により、今日まで伝承されている。

 藤崎八旛宮例大祭では、まず、奉納諸行事の先頭を切って、「獅子の飾卸」と称する清めのお祓いがある。ベンガラ色の社殿にのぞむ境内で「天拝」と称する神事の舞が厳かに演じられる。さらに牡丹の花車を中央に引き出して、雄獅子と雌獅子が牡丹の花の回りで戯れながら「牡丹の舞」が豪華絢爛且つ勇壮に演じられる。「牡丹の舞」は、地元の役者らによってあらたな獅子舞が伝授されたことが始まりで、後に歌舞伎役者市川右団次によって手直しされ、明治期に完成し今日に至っている。

八木節(栃木県・足利市)

 軽快なリズムに合わせて、コミカルで可愛らしい踊りを披露するのは、地元・足利女子高の創作ダンス部のメンバーたち。盆踊り唄の美声と女子高生ダンサーの傘踊りがマッチし、独特の世界観を演出した。

 八木節の発祥は、例幣使街道の宿場『八木宿』で、江戸末期から明治初期にかけて遊女の間で歌われていた『くどき節』を、現在の栃木県足利市堀込町に住んでいた渡辺源太郎(初代堀込源太)が荷馬車を引きながら早口に唄い替えたものがそのルーツといわれている。

 源太はまれな美声の持ち主で、街道沿いの人々は仕事の手を休めて聞きほれたと伝えられている。こうして八木節は評判となり、大正初期には、レコードが発売され、当時としては驚異的な枚数の売上げを記録。さらにはラジオ放送の効果で八木節は全国に広まった。独特のリズムテンポは特出して個性的な民謡で、今でも多くの人々に愛されている。

花輪ばやし(秋田県・鹿角市)

 壮大で豪華絢爛な屋台が、舞台の上をゆっくりと旋回した。腰抜け屋台と言われるように、屋台には床がないので、舞台の上の演奏者たちは歩きながら、太鼓のバチを高く掲げながらのパフォーマンスを披露した。

 花輪ばやしは、土地の守り神「産土神(うぶすな)さん」として古くから地域の信仰を集める、幸稲荷神社の祭礼で奉納される祭礼ばやし。昭和35年から花輪神明社の祭礼が合流し、現在の10町内による運行形式になった。日本一の祭り囃子とも称賛される鹿角市最大の祭りだ。

 祭りの期間の中で、8月19日・20日は、絢爛豪華な10の屋台が集合し、2日間に渡り競演を繰り広げる。地元の人はもちろん観光客も訪れ、華やかな賑わいを見せる。平成26年3月に「花輪祭の屋台行事」として国の重要無形民俗文化財に指定。平成28年11月に「山・鉾・屋台行事」のうちの一つとしてユネスコ無形文化遺産に登録された。

三作(みつくり)神楽(山口県・周南市)

 4人の舞人たちが、神殿の中央に小卓を置き、軽快なテンポで飛び跳ねたり、回転したりの踊りを見せた。土地に潜む「悪霊」を踏み鎮めているのだという。ラストには吊るされた太綱を登って降りるアクロバティックな演技に観客は息を飲んだ。

 三作神楽は、和田三作地区(林・原赤・中村の三自治会を合わせて三作という)に古くから伝承され、7年目ごと(卯年・酉年)の式年祭で地元河内社に奉納されている神楽舞。その起源については定かではないが、大宝年間(701~703年)に飢饉と疫病にみまわれた際に、河内社に五穀豊穣と疫病退散を祈願したところ、村に平和が訪れたため、そのお礼に三村落総出で神楽を奉納するようになったのが始まりと伝えられている。

 神殿を設け、神迎えをして23の神楽舞を奉納するこの神楽は、神祭りの古風な形をとどめ、中世の華やかな芸能を取り入れて祭りの興奮を高めている。国指定重要無形民俗文化財。

早稲谷鹿踊(ししおどり)(宮城県・気仙沼市)

 竹を割って結束した4メートル以上のササラを背中に立てた8頭の鹿に扮した踊り手が、腰に太鼓をさげ、頭には本物の鹿のツノをつけて、囃し手役の化け坊主と唄いながらステップを踏む。ザザンコザンザンという独特の太鼓のリズムで躍動感を演出した。

 気仙沼市早稲谷地区に伝わる8頭の鹿踊り。記録には文政10(1827)年、東磐井郡大原山口(現岩手県一関市大東町)の喜左衛門よりこの地に伝承されたものといわれている。毎年旧暦6月24日の前後に、地区内にある「甘酒地蔵尊」の祭典に奉納されている。災厄や疫病をはらう魔除けの踊りといわれているが、本来は祖先の霊を供養する念仏踊り。地区の小学生が鹿踊りに取り組むなど、地域の人たちによって大切に継承されている。宮城県指定無形民俗文化財。

長崎くんち 龍踊(じゃおどり)(長崎県・長崎市)

 エンディングに登場した龍踊。舞台上には諏訪神社の桟敷が再現され、出演者が見守る中、全長20メートル、総重量150キロの龍体が、龍踊独特の音楽「唐楽拍子」にあわせて、勇ましくエキゾチックに舞台を泳いだ。長ラッパの音色が、絞り出すような龍の叫びを表現した。

 「長崎くんち 龍踊」は、日本三大くんちの一つとして有名な諏訪神社の大祭「長崎くんち」の奉納踊(国指定重要無形民俗文化財)の一つで、勇壮な伝統芸能として広く知られている。龍踊は、中国で五穀豊穣を祈る雨乞い神事に始まったものといわれ、唐人屋敷と密接な関係にあった当時の本籠町の町民が唐人達の指導をうけ、300余年の間に踊り方が非常に巧みになり、日本独特の巧妙な演技を見せるに至った。龍体が唐服を着た玉使いが操る玉を追って舞う様は実に壮観だ。

提供 一般財団法人地域創造

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