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【話の肖像画】元警視総監・池田克彦(66)(8)オバマ大統領とツーショット

オバマ前米大統領との記念写真を手に =東京都千代田区(寺河内美奈撮影)
オバマ前米大統領との記念写真を手に =東京都千代田区(寺河内美奈撮影)

 〈現在、理事長を務める日本道路交通情報センター(東京都千代田区)の執務室に、平成21年11月に初来日した米国のオバマ前大統領と握手している写真が飾られている〉

 大統領来日の際は、事前に警視庁警護課とシークレットサービス(SS、大統領警護隊)で大統領警備の打ち合わせをするのですが、そこでえらくもめました。米国の政権交代でSSのメンバーがほぼ総入れ替えになり、これまでの日本のやり方を知らなかったのです。

 当時、私は警察庁警備局長で米国の公使が話し合いに来られました。私は「ブッシュさんの親父(おやじ)さんのころから大統領警備をやっている」と言いながら、前例やメンツにとらわれない合理的なやり方を一緒に考えようと呼びかけました。微調整を繰り返し、ようやく双方が納得する警備計画がまとまり、来日を迎えました。

 「大統領がお礼を言うからホテルに来てほしい」。オバマさんが滞在中、米国大使館から警察庁に連絡がありました。バックヤード(裏方)の警備局長が呼ばれるのは珍しいことです。想像ですが、私が警視庁との間に立ったことで、公使も顔が立ち、感謝して動いてくれたのでしょう。

 通訳を連れてホテルに向かうと、面会の部屋の前にいた制服姿の女性に呼び止められました。「名前は?」と聞かれたので「池田」と答えると、「オーケー、そちらの人は」と言われました。通訳も名乗ったのですが、「名簿にないからダメだ」と入室を認めてくれません。「通訳なので随行として入れてほしい」と訴えても、頑として受け入れてくれません。

 その場にいた知り合いの米空軍所属の男性が、「私が通訳するから入ってくれ」と言うので、1人で入ったんです。でも、その男性はオバマさんの前でガチガチに緊張してしまい、何の助けにもならなかった。

 オバマさんと対面して最初に考えたのは「何と呼んだらいいかな」ということでした。映画ではよく「ミスター・プレジデント」と呼んでいますけど、本当にそれでいいのか悩みました。でも、直前に秘書みたいな人が実際にそう呼んでいて、「本当なんだ」と思いましたね。

 「あなたの尽力に感謝している」。オバマさんはそう言いながら、深々とお辞儀をしてくれました。面会時間は2、3分ぐらいでしたが、仕事を評価してもらえ、ありがたかったです。

 この後、オバマさんは皇居で天皇、皇后両陛下とお会いしたのですが、そのとき深々とお辞儀をしたことが米国で「卑屈な態度」と言われ、少し問題になりました。オバマさんは誰かから日本で感謝、敬意を伝えるときはお辞儀をするということを教えられ、素直に行ったのでしょう。私にもしてくれたことが、その証拠だと思います。

 しばらくしてサイン入りのツーショット写真が届きました。素直にうれしかったです。原子力規制庁長官のとき、米国の原子力行政を担う要人が写真を見て「あなたが米国に貢献していることがよく分かった」と握手を求められたことがありました。実務的にも、とても役に立ちましたね。(聞き手 高久清史)

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