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【本郷和人の日本史ナナメ読み】中世の男女観(下)「平安美人」どこまで絵の通り?

賀子内親王像(模本、東大史料編纂所蔵)
賀子内親王像(模本、東大史料編纂所蔵)

 お姫さまといえば、「麗しい」「美しい」という形容詞で語られることが多いわけですが、それがあくまでも当時の美意識をもとにしての評価であることには要注意です。たとえば、男性の話になりますが、『源氏物語』の「玉鬘(たまかずら)」で、九州に居住するお姫さまである玉鬘にしつこく言い寄ってくる土地の有力者が描かれています。

 実はこの人、南北朝時代には南朝に忠節を尽くし、戦国時代に至るまで肥後を代表する武士団として活動した「菊池家」の草創期の人物をモデルにしているらしい、と推定されています。地方の名家の人だった。それでこの人は「でっぷりとしている」んですね。だから作者の紫式部は「太っていて、汗臭そう、かっこわるい」と書くかと思いきやそうではない。「太っていて、そこは良いのだけれど」、振る舞いが何とも田舎じみていて優雅じゃないのでだめ、となるのです。

 つまり「でっぷりしている」のは平安時代中期には、プラス材料なんですね。確かに現代でも、経済的に貧しい国では、「太っている」=お金持ち=プラス材料、というところはあるようです。ぼくでも平安時代中期にタイムスリップすると、もてるかな。

 じゃあ、女性はどうなのかというと、お姫さまの「美しさ」の決め手は、何といっても「つややかで長い黒髪」なんです。そういえば、百人一首のお姫さまたち、みんなストレートの超ロングですよね。あれは、生まれたときからずっと切らないんですよ。だから、あの長さになる。となると、当然洗うのがたいへんです。1カ月に1回、使用人が総出で、お姫さまの髪を洗うらしい。

 いまはあまり聞かなくなりましたが、「朝シャン」なんて言葉があって、若い女性が毎朝シャンプーする、という習慣があったように記憶しています。これに比べて洗髪が1カ月に1回だと、いろいろ匂いそうですね。いや、へたすると「臭う」か。貴族はお香を着物にたきしめるわけですが、香水と違って甘い香りじゃない。女性用であっても、みな沈んだような渋い匂いなんです。あれ、髪の毛の匂いを意識しているんじゃないのかな。想像にすぎませんが。

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