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横山秀夫さん、6年ぶり長編「ノースライト」 哀切なミステリー

国内外で評判を呼んだ『64』から6年。「誰かの琴線に触れてくれれば」と語る横山秀夫さん(酒巻俊介撮影)
国内外で評判を呼んだ『64』から6年。「誰かの琴線に触れてくれれば」と語る横山秀夫さん(酒巻俊介撮影)

 「川のよどみに入ってしまった人がゆっくりとまた元の流れに戻っていく。そういう人生の旅情、みたいなものを書きたい」。横山秀夫さん(62)の6年ぶりとなる新作『ノースライト』(新潮社)はそんな思いから生まれた。前作『64(ロクヨン)』のような警察小説とは違い、主人公はバブル崩壊で多くを失った建築士。大きな謎と、人間の喪失と再生の歩みが重なり合う、美しく、哀切な長編ミステリーだ。(海老沢類)

 〈あなた自身が住みたい家を建てて下さい〉-。ある夫婦からの不思議な依頼を受け、建築士の青瀬稔が浅間山を望む信濃追分(おいわけ)に設計した「Y邸」。柔らかなノースライト(北からの光)を存分に取り込む家は建築の本でも紹介された会心作だった。ところが引き渡しから4カ月がたつY邸に誰も住んでいない-という驚くべき知らせが入る。

 たまらず現地に飛んだ青瀬が目にしたのは無人のY邸だった。施主一家はどこへ? ぽつんと残されていた、独建築家ブルーノ・タウトの作らしき椅子は何を意味するのか? 謎を自力で解くべく、青瀬は各地を駆け回る。

 ■偶然の産物

 「警察小説から離れようとしたわけではない。ある意味、偶然の産物なんですよ」と横山さんは言う。

 雑誌「旅」(平成24年に休刊)で連載を始めたのが16年。当時、心筋梗塞から復帰したばかりなのに執筆予定は先々まで詰まり、1年のほとんどを仕事場で過ごしていた。「『ここが俺の終(つい)のすみかか!』って絶望的な気分でした。そんな心に、『旅』という雑誌名が光のようにさし込んできて『自分も旅をしたいな』って。旅、放浪、家、建築…と物語の根っこが自然とつながっていった」

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