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【温故地震・大震災編】東日本大震災(2011年) 都司嘉宣

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 ■海溝付近で巨大津波

 高さ10メートルを超える巨大津波が東北地方の太平洋岸を襲い、1万8千人以上の犠牲者が出た東日本大震災から8年。この地震では、なぜ津波が大きくなったのだろう。

 青森県から房総半島にかけての太平洋の沖合約200キロには、海岸線とほぼ並行して日本海溝が走っている。日本列島を載せた陸側プレート(岩板)の下に、海側プレートが沈み込んでいる場所だ。

 海溝から陸側に60キロ程度までの帯状の領域には、海側プレートが沈み込む際に運んだ堆積物からなる「付加体」が存在する。この領域では、海と陸のプレートの境界面が急激に滑って地震が発生すると、揺れは小さいのに異常に大きな津波が襲ってくる「津波地震」となることが多い。

 岩石として固まりきっておらず軟らかい付加体の位置で起きた地震は、地震波はゆっくりした周期となって揺れを感じにくいが、海底面が大きく跳ね上がりやすく、津波を巨大にするためだ。

 揺れによる被害はなかったにもかかわらず、津波で約2万2千人が死亡し、代表的な津波地震とされている1896(明治29)年の「明治三陸地震津波」の震源域も、帯状の領域に収まる。「慶長の三陸沖地震」(1611年)、「房総沖地震」(1677年)なども同様だ。

 東日本大震災の地震活動が始まった位置を示す震源は、この領域に入っていなかった。滑ったプレート境界の範囲を示す震源域もそうであれば、それほど大規模な津波は生じなかったであろう。だが、地震活動は広がって震源域は数分で付加体の領域に到達。軟らかい海底が大きく隆起して巨大津波が沿岸を襲った。

 巨大地震が30年以内に70~80%の確率で発生するとされている南海トラフの陸側にも、付加体でできていて津波地震を起こすとみられる領域がある。巨大地震の震源域がここに及べば津波が大きくなる。

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