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【聞きたい。】中江有里さん『残りものには、過去がある』

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(宮川浩和撮影)
(宮川浩和撮影)

 ■読書は人生の危機を救う

 結婚式の披露宴をテーマにした6つの連作短編。年齢も容姿も釣り合わない新郎新婦。レンタル友人で出席しているホントは知らない人。元カノに、祝儀ドロボー…面白い設定だ。

 「着想ですか? 披露宴に招(よ)ばれるたびに、『人を祝うことは何て心地いいんだろう』って感じるんです。この気持ちを小説にしたいと考えました。私が結婚式を好きなのは、身近な人たちの幸せを祈ることで、自分の心まで浄化される気がするからですね」

 タイトルはもちろん「残りものには、福がある」のもじり。語り手は、それぞれに人に言えないような「過去」があり、「傷」を持っている。それが、結婚式という祝祭の場で交錯し、癒やし癒やされる。その中で新郎新婦は“打算の結婚”を「友情の愛」へと昇華させてゆく。

 「人間というのは、困っている人がいたら手を差し伸べるものです。私はその気持ちを信じたいと思う。友人関係だって、困ったときこそ、友達の真価が問われるでしょう」

 28歳から書きはじめて、小説の書籍化は本作で3冊目、連作短編は初めてだ。「いくつかの短編を書いているうちに、自分のリズムに合うと感じていたし、他の作家の連作短編を読むのも好きでした。でも書いてみるとなかなか難しい。ただ(登場人物が)絡み合うだけではダメですからね」

 活字離れ、出版不況が深刻になっている中で、読書の大切さ、面白さを伝えたいと切に思う。

 「自然に入ってくる情報とは違い、活字を能動的に読む込む作業は、確かに大変で、苦労が必要かもしれない。でも、その力を一度身につけると、すごい財産になります。学ぶことや仕事を始めるとき、人生の危機を救うのにも、必ず役に立つことを知ってほしいんです。それに、根気がいるから、いいんじゃないですか。『疲れない筋トレ』をやってもしようがないのと同じですよ」(新潮社・1500円+税)

 喜多由浩

 【プロフィル】中江有里

 なかえ・ゆり 女優・脚本家・作家。昭和48年、大阪府出身。平成元年デビューしテレビドラマ、映画に出演。14年には脚本家デビュー、小説は3作目。

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