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【書評】『FACTFULNESS』

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『FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』
『FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』

 □『FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』

 ■自分が変化することを体験

 ビル・ゲイツが2018年度大学卒業生の希望者にプレゼントした本。これだけでも、普通の本ではないことがわかる。すでに多くの書評が書かれているが、それでもまだ読んでいない読者の背中を押す書評を書こう。

 単純化すると、この本の基本テーゼは二つに集約される。「世界は貧困、人口、教育、エネルギーといった問題を抱えているが、実は、われわれのイメージより、はるかに良い解決に進んでいる」「人間は思考や認識に本能的にバイアスを持つ。こうした本能に気づきそれを乗り越えることで、事実に基づいた正しい判断をできるようになろう」-。

 これだけ聞くと、とても当たり前なことを書いているだけの本のように思える。そう、実は当たり前になることがこの本の目的なのだ。しかし、この読後の境地に達するまでの過程がとても面白い。

 冒頭で世界の現状に関して、クイズが出されるが、これが引っかけで面白いぐらい皆間違えるらしい。しかも、エリートや、ちょっと知っているつもりぐらいの人が一番間違えてしまうようだ。フェイクニュースも何も知らない人より、少し事情通のつもりの人が一番だまされるように作られる。今の時代にふさわしい問題提起だ。

 その後、一つずつ、本当はどうなのかというファクトが示され、なぜ、思い込みのフェイクを信じやすいのか、どうしたらそれを避けることができるのかが丁寧に説明される。この本は、自分の偏見とそれを正すという経験を通じて、実際にファクトに基づいて考える力、フェイクニュースに引っかからなくなるトレーニングができるところが最大の価値なのである。

 なので、ベストセラーに対する態度として、「こんなことが書いてあるらしいとわかったので、とりあえず読んだふりをしとこう」というのはもったいなく、実際に読んで最初と最後で自分が変化することを体験することに価値がある本なのである。

 よくある見方とは違いがわかる産経の読者にこそ読んでいただきたい一冊。(ハンス・ロスリング他著、上杉周作、関美和訳 日経BP社・1800円+税)

 評・瀧本哲史(京都大学客員准教授)

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