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【みうらじゅんの収集癖と発表癖】古瓦 自分の部屋を寺にしたい!

寺の古瓦マグネットに、瓦にまつわる新聞記事スクラップや本…。少年時代から続く収集癖を物語る
寺の古瓦マグネットに、瓦にまつわる新聞記事スクラップや本…。少年時代から続く収集癖を物語る
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 寺の瓦を集め出したのは小4から始まったマイブーム『仏像』が高じたもの。休日になると寺巡(めぐ)りをしてるかなり渋い小学生は、いつしか自分の家が寺でないことを悔しく思うようになっていた。「何でうち、寺と違うん?」、そんな無茶振(むちゃぶ)りにオカンは「将来、アンタ、出家したらええやんか」と返すしかなかった。

 家丸ごとは無理でもせめて自分の部屋くらいは寺風を装いたい。土産物屋で買った瀬戸物製のチープな仏像は何体か持っていたので、それを取り巻く環境として瓦が欲しくなったのだ。かといって、そんなもの売ってるところは知らない。一枚、たまたま近所の寺で割れた丸瓦を拾い、持ち帰ったことに味を占め、以降、単なる寺巡りではなくなったわけだ。そんな破損した瓦は瓦の並んだ塀の近くにある。目の届く所に落ちていることは稀(まれ)で、大概は塀裏の竹や雑草が生い茂ったところに人知れずいるもの。もう体幅ギリギリの狭い塀際をひとり、ひた進み捜査する。徒労に終わり、汚れた服で寺を後にすることも多かったが、それでも僕の自室寺化計画の情熱は失(う)せるどころか益々(ますます)、高まる一方だった。

 欠けてはいるが“◯◯寺”とネームの入った丸瓦を見つけた時は本当、嬉(うれ)しかった。たぶん、その頃からブランドに拘(こだわ)る嫌なセンスを身に付けてしまったのだろう。しかし、それは塀の上、誰かが放り投げでもしたのか真っ当な瓦の上に乗っかっていた。手頃な長さの古びた竹の枝を見つけ、突いてみたが全く動じず、今度はジャンプして掻き出し落とす作戦に切り替えた。それが見事、ヒットして半分割れた瓦が…(そこまではハッキリ覚えているのだが)、どうしたことかそれが僕の頭に直撃したのだろう、何だか冷たいものが垂れてきたと思ったら血だった。しばらくショックでその場に立ち尽くしていたのだが、顔面血だらけとなり、フラフラした足取りで僕は塀裏から境内に出た。その姿に参拝者も驚愕(きょうがく)したのだろう、誰かが通報して僕は気が付くと病院にいて、頭を3針も縫われてた。要するにバチが当たったのである。

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