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誘致へ一歩、費用など難題も 次世代加速器ILC

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国際リニアコライダーの完成予想図(高エネルギー加速器研究機構提供)
国際リニアコライダーの完成予想図(高エネルギー加速器研究機構提供)

 素粒子物理学を新たな段階に導く次世代加速器「国際リニアコライダー(ILC)」の建設構想について政府が7日、国内への誘致を真剣に検討する方針を示したことで、構想は実現に向けて一歩前進した。

 ただ、誘致を明言できなかったのは、政府内の意思統一に時間がかかっているためだ。所管する文部科学省は積極的な姿勢だが、約8千億円に及ぶ建設費のうち誘致国の負担割合が未定のため、厳しい財政状況下で財務省は難色を示しているとみられる。

 時間的な制約もあった。構想の実現には、資金拠出の一角を担う欧州が今年以降の研究計画にILCを盛り込む必要がある。それには今回の国際会議までに、日本が何らかの形で「やる気」を表明しないと間に合わない事情があった。

 素粒子物理学は日米欧が世界を牽引(けんいん)しているが、欧州には、万物に質量を与えるヒッグス粒子を発見した巨大な加速器が既にある。米国は次世代施設の建設を見送った経緯があり、ILCを誘致できるのは日本だけというのが共通認識だ。

 宇宙や物質の根源に迫る素粒子物理学は基礎科学の最高峰ともいえる存在で、日本は既存の施設で行った実験で小林誠、益川敏英両氏がノーベル賞を受賞するなど大きな実績を持つ。最先端の国際研究拠点を誘致できれば高い研究水準を維持する上で有利だ。

 日本が誘致を見送れば、台頭著しい中国が名乗りを上げるのではとの警戒感もあり、文科省としては誘致国の立場を“仮押さえ”しておく必要もあった。

 文科省は日欧の次世代研究計画が出そろう平成32年度にも誘致を表明したい考えだが、政府内の調整や財源確保、費用分担をめぐる各国との駆け引きなど難問は山積しており、予断を許さない。(伊藤壽一郎)

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