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【書評】早稲田大学文学学術院教授・小沼純一が読む『留守の家から犬が降ってきた』

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『留守の家から犬が降ってきた 心の病にかかった動物たちが教えてくれたこと』
『留守の家から犬が降ってきた 心の病にかかった動物たちが教えてくれたこと』

 □『留守の家から犬が降ってきた 心の病にかかった動物たちが教えてくれたこと』

 ■逆まわりで気づく人

 動物が喜んだり楽しんだり怒ったりするのは知っている。飼っていたことがあるなら、毛を逆立てて威嚇したり、尻尾を巻いたり、と恐怖や不安を感じたり、哀(かな)しんで食欲がなくなったりするのもわかる。動物にも感情がある。

 ケージで体毛を執拗(しつよう)に抜いているハムスターを、動物園で、ひたすらぐるぐると回っているヒョウを見た。イルカやクジラが集団で浜にうちあげられているのを、「9・11」の救出作業に携わったイヌのPTSD(心的外傷後ストレス障害)を、新聞やニュースで知ることはなかったか。

 飼い犬の「オリバー」が奇妙な行動をとり、傷ついた体験から文章を書きおこす著者。愛犬との生活を思い、引きとる前のオリバーの生活を想像。イヌからネコ、ゾウからゴリラ、クジラに至るまで、多くの動物たちにみられる行動の不思議と、その心理的要因を、専門家に会い、話を聴き、浮かびあがらせる。オリバーのおもかげはときにほかの動物たちに重ねられる。

 人は、動物を「擬人化」してとらえがちだ。そうしてわかること、わかったつもりになることがある。だが、そこにおとし穴もある。人間中心主義だ。著者はいう。「動物をわたしたち人間の延長として考えることをやめれば良い」

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