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「六本木クロッシング2019展」 猫は現代アートになっても一筋縄でいかない

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竹川宣彰「猫オリンピック:開会式」などの展示 2019年
竹川宣彰「猫オリンピック:開会式」などの展示 2019年

 世界中の猫、ここに集まる-。スタジアムで繰り広げられるのは「猫オリンピック」の開会式。1300匹を超える猫たちがスタジアムに集い、一心に声援を送っている…と思いきや、ノビをしている猫あり、居眠り中の猫あり。

 東京・六本木の森美術館で3年に1度開催される現代アート展「六本木クロッシング」で見つけた竹川宣彰(昭和52年生まれ)の作品「猫オリンピック」。陶製の猫たちは一匹ずつ、種類も表情もしぐさも違う。競技場の真ん中には金銀銅のキャットフード型トロフィーが輝き、聖火台にまさに火をともす猫もいて、芸が細かい。展示室の壁には猫たちが躍動する競技ポスターや、色とりどりの猫が主張を掲げる猫型プラカードも。「高い居場所が欲しいにゃー」「どこでも爪研ぎしたいにゃん!」

 竹川が仕事で多忙を極めていたとき、愛猫トラジロウが交通事故死してしまった無念さが制作のきっかけという。作品全体には2020東京オリンピックの熱狂に対する、作家のどこか冷めた感情や批評精神が見え隠れする。熱狂の裏で、犠牲になっているものも多いのではないかと。

 来年に迫った五輪。いっそ猫だったら、手放しで応援できるのだが…。

                   

 同展にはもう1匹、猫が登場する。しかも、高さ5・5メートルの巨大なピンクの猫だ。飯川雄大(たけひろ)(昭和56年生まれ)の作品「デコレータークラブ-ピンクの猫の小林さん-」。

 計算された展示によって、鑑賞者は巨大な猫の全体像を真っ正面から捉えることはできない。携帯電話のカメラで撮ろうとしても、全てを収められない。「情報過多といわれる現代において、その全体像を誰もつかめないのと同じ」と同展担当キュレーターの徳山拓一さん。飯川は現代の情報社会の様相を、猫でユーモラスに表現している。

 デコレータークラブとは、周りのものを体に飾り付けて擬態するカニで、本来の姿はなかなか見られないのだという。正しいとされる情報も、フェイクかもしれない。ピンクの猫は“化け猫”かもしれない。

 キュートな猫も現代アートになると、一筋縄ではいかないのだ。(黒沢綾子)

                   

 「六本木クロッシング2019展‥つないでみる」は5月26日まで。会期中無休。主に30、40代のアーティスト25組の表現を紹介。一般1800円。問い合わせはハローダイヤル(03・5777・8600)

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