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死別後に届く手紙「すまいるポスト」広がる共感

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手書きのデータを印刷した「すまいるポスト」の手紙サンプル
手書きのデータを印刷した「すまいるポスト」の手紙サンプル

 自分の死後、あらかじめ用意しておいたメッセージを残された人に届けるサービス「すまいるポスト」が開始5年を迎え、共感が広がっている。考案した堺市堺区の道本ゆき子さん(55)は、夫を亡くした経験を基に、仕組みを作り上げた。「いつかお別れの時が来ても あなたの一通が こころの支えになるように」。キャッチコピーには、自身が「あればよかった」と実感した思いが込められている。(小野木康雄)

 すまいるポストは、会員制の有料サービス。利用者は専用サイトでメッセージを入力するか、手書きした手紙のデータを預ける。道本さんが社長を務める運営会社「アートプラス」(大阪市中央区)は利用者の死亡連絡を受けると、本人の代わりに手紙を印刷。生前に指定された宛先に郵送する。

 サービスを考える原体験は17年前、同い年の夫との38歳での死別だった。ドイツ人の夫とは学生だった昭和63(1988)年、留学先の西ドイツ(当時)で出会った。交際1カ月後にはプロポーズされたが家族に猛反対され、結婚できたのは平成11(1999)年。12年越しの大恋愛だった。

 新居を構えたベルリンで13(2001)年9月11日、米中枢同時テロのニュースに接した。万一のことがあればお互いどうするかを話し合った。夫は言った。「僕がいなくなったら、君は君の道を行かなければならないんだよ」

 翌年4月、体調がすぐれず仕事を休んだ夫は、少し眠ると言ってベッドに横になったきり起きてこなかった。突然死だった。

 実感が持てなかった。毎日、何時間もあてどなく町を歩き回り、朝が来るたびに絶望感にさいなまれた。「君の道を行け」という言葉を思い出しても、こんな反論が頭をもたげて受け入れられなかった。「何言ってるのよ。私はあなたとの人生を選んだのよ」

 その後、夫の好みそうな仕事に就いた。ドイツではソフトウエア会社の営業職。帰国後は仏高級ブランドの統括マネジャー。10年ぐらい、夫の気持ちばかりを考えて生きてきた。

 あるとき、ふと考え直した。本当は、夫は何を伝えたかったのだろう。「君の道を行け」という言葉の奥にある思いを、きちんと受け取りたかった。たとえば、何度も読み返せるような手紙で-。

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