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【話の肖像画】NHK元アナウンサー・鈴木健二(90)(10)NHKは視聴率気にするな

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 〈NHK退職後に就任した熊本県立劇場の館長時代(昭和63年~平成10年)、郷土の伝統芸能復元による村おこしや、障害者と健常者が共演する「こころコンサート」を実現させた》

 村おこしが県内で10カ所、こころコンサートは全国6カ所で開催しました。両方とも何年もかけて準備をし、(コンサートでは)最高約1万2千人で大合唱をしたこともありました。

 最初はすべて反対されたんですよ。福祉団体などからは「障害者1人でも大変なのに、そんな大勢、とても無理ですよ」と。みんな最初はびっくりします。手をつなぐのに3カ月、肩を組むのに半年…。私がこの活動を通じて感じたのは、健常者が障害者と触れあうことの大切さです。それもできるだけ早いほうがいい。

 75歳で予定通り公職から退きましたが、ただ一つだけ「生命尊重センター」という、困惑する妊産婦を支援し、中絶を防ぐ活動を行う団体の名誉顧問を続けています。センターの「円ブリオ基金」は8週までの胎児の学術名(エンブリオ)と「1円からの寄付」を引っかけたものです。今では会員も10万人になりました。私が「数え年」を使うのも、受精卵がお母さんのおなかの中で着床した瞬間から、命が始まっていると思うからです。胎児は人間なのです。そして、おへそで、お母さんと一生つながっている。

 私はね、「お母さんを大切にし、生まれ故郷を大切にしよう」と言い続けてきました。単純ですけど、人として、その2つさえできれば、それが幸福だと思っているくらいです。

 〈最近は、テレビも、ニュースかスペシャル番組しか見なくなったという。古巣のNHKの今をどう見ているのか。番組内容の民放化や巨大化も指摘されているが〉

 私は在職中から、番組制作の外注化が10%を超えたらもう「NHKじゃなくなる。民放のやり方になってしまう」と指摘してきました。つまり、チャンネルさえ合わせてくれれば、それでいい、と。アナウンサーが大きな声で叫んだり、笑いながら手をたたいたり、ラジオを聴いていても、若い出演者が身内の話をするばかりで、意味がまったく分かりません。NHKは視聴率など気にせず、スペシャル番組のような質の高い番組をつくってほしいと思うのです。

 ドラマも忙しくて現役中からほとんど見ません。昨年の大河ドラマ「西郷どん」は最終回だけ見ました。歴史番組を担当したときに、自決した西郷の首の行方をかなり調べたことがあり、そこがどう描かれるか関心があったからです。極めて常識的な終わり方で、残念でした。

 現在気になるのは、ニュースや番組制作以前の下調べが今一つ足りないこと、伝える言葉に語感が乏しいことですね。24時間放送に、チャンネルも地上波にBS、今度は4K8Kですか。“四苦八苦”にならなければいいのですが(苦笑)。テレビ初期に評論家の大宅壮一さんが「1億総白痴化」と揶揄(やゆ)しましたが、「もしかしたら近い将来そうなるかも…」と当時、大宅さんと握手したこともありましたね。(聞き手 喜多由浩)

 =次回は元警視総監の池田克彦さん

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