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ドナルド・キーンさん死去「日本人として感謝しきれず」

徳岡孝夫さん(磨井慎吾撮影)
徳岡孝夫さん(磨井慎吾撮影)

 ■24日に死去したドナルド・キーンさんの代表作「日本文学の歴史」(全18巻)の近代編、現代編を翻訳したジャーナリストの徳岡孝夫さんの話

 「目の悪い私は訃報をラジオで知った。朽ちた大木がついに倒れた、と感じた。日本文学の通史を著せるキーンさんのような人は二度と現れることはないと思う。『日本文学の歴史』を翻訳していて衝撃を受けたことを鮮明に覚えている。キーンさんは取り上げた作品にすべて目を通していた。そうでなければ絶対に書けない内容だった。仕事ぶりは誠実そのもので、献身的といってもよい。かといって堅物ではない。キーンさんが何でも知りたがる三島由紀夫と奈良を旅したときのこと。宿で犬の遠ぼえが聞こえたとき、『三島さん、あれは犬です』と言った。(どう聞いても犬の遠ぼえなのに)キーンさんはあえてそういうユーモアをたたえた人だった。

 戦時中は米国の情報将校として、日本兵と米兵の手紙を読み、彼我の懸隔に衝撃を受けた。『自分の命を祖国と世界平和にささげたい』とつづる日本兵、『早く家に帰ってママのパイが食べたい』と書く米兵。『この戦争は日本が勝つべきではないか』とキーンさんは感じた。それが日本文学研究の出発点だった。

 『日本は中国の一部』といった認識が西欧で一般的だった時代に、この世界に西欧とは異なるすばらしい美意識と価値観を持つ日本という国が存在することを、キーンさんは愛情をこめて世界に広めてくれた。日本人として感謝してもしきれない」

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