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【書評】文化部編集委員・篠原知存が読む『ニッポン47都道府県正直観光案内』(宮田珠己著) どうすれば旅を楽しめるか

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『ニッポン47都道府県正直観光案内』宮田珠己著(本の雑誌社・1650円+税)
『ニッポン47都道府県正直観光案内』宮田珠己著(本の雑誌社・1650円+税)

 〈観光の真髄は、すごいもの、奇妙なものを見ること〉だけど、よく知られた観光スポットの多くは〈まあだいたいあんまりすごくありません〉という序文に、心の中で拍手! では、どこに行けばいいのか。あまりマニアックなものではなく、B級スポットで妥協するのでもなく、たいした見識を必要ともされず、〈誰が見ても来てよかったと思える、手ごたえの感じられる場所〉は、いったいどこにあるのでしょう。

 ウミウシ、ジェットコースター、巨大仏、迷路旅館など日本全国の面白そうなものを訪ねまくっている紀行エッセイストが〈正直にいいと思う場所だけを厳選し、都道県別に紹介する〉という一冊。ただのガイド本ではない。〈※すべて個人の感想です〉と太字で断り書きもしてあるように、宮田節全開の軽妙洒脱(しゃだつ)な読みものとして楽しめる。

 たとえば和歌山。最大の観光スポットといえば熊野。熊野古道も行ってみたいが〈一筆書きできない〉のでやる気が出ないと笑わせつつ、紹介するのは、本気のサンゴと海の生きものがナマで見放題の〈串本ダイビングパーク〉に甲殻類一本勝負の〈すさみ町立エビとカニの水族館〉、生きた粘菌が見られる〈南方熊楠記念館〉といった具合。

 ほかにも、トロッコと称する観光列車でなく現役本物のトロッコに乗れる〈立山砂防工事専用軌道〉(富山)、水の中を歩かなくてはならない〈入水鍾乳洞〉(福島)など一筋縄ではいかないスポットが次々に紹介される。

 あるいは〈日本観光のラスボスである京都〉。観光客でごった返しているので、いっそ神社仏閣を全部捨てるとか〈もう市内まるごと捨てて、北のほうへ行ってみるのはどうでしょう〉…なるほど。

 読むうちに「観光案内」というタイトルは、「観光地」の案内でなく、どうすれば旅を楽しめるのか、それぞれがほんとにすごいものを見つける「観光の方法」を指南する意味だったのねと納得できた(※個人の感想です)。しかし、困ったものだ。日本全国行きたい場所だらけになってしまった。(本の雑誌社・1650円+税)

 評・篠原知存(文化部編集委員)

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