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「光の魔術師」フェルメール…大阪展で「恋文」堪能

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ヨハネス・フェルメール《恋文》1669-1670年頃 アムステルダム国立美術館 Rijksmuseum. Purchased with the support of the Vereniging Rembrandt, 1893
ヨハネス・フェルメール《恋文》1669-1670年頃 アムステルダム国立美術館 Rijksmuseum. Purchased with the support of the Vereniging Rembrandt, 1893

 大阪市立美術館(大阪市天王寺区)で16日に始まった「フェルメール展」。世界に35点ほどしかないといわれる希少な作品のうち、大阪展のみとなる「恋文」を含む6点がお目見えした。初期作品から「光の魔術師」と異名をとるようになった時代の作品まで、17世紀オランダ絵画を代表するヨハネス・フェルメール(1632~75年)の進化がわかる展覧会だ。(正木利和)

                     

 会場に入って最初に出合うフェルメールの作品は「マルタとマリアの家のキリスト」と「取り持ち女」。いずれも強い色彩で、宗教的なテーマを描いた比較的大きな作品である。

 姉妹の家を訪れたイエスに食事の世話をしようとする姉マルタ。一方、妹マリアはその言葉を一心不乱に聞いている。最初期の作品「マルタとマリアの家のキリスト」は姉妹にプロテスタントとカトリックを投影したといわれている。

 「取り持ち女」もまた、聖書のなかの「放蕩(ほうとう)息子」をテーマにしているといわれる。この絵は、宗教画から市民の暮らしを描く風俗画へと変わる過渡期の作品だ。この絵の左の男がフェルメールの自画像だ、という説もあるが、大阪市立美術館の篠雅廣館長は「フェルメールがその技術を傾けた、画面右の立体的な水差しこそ、自らを投影したものではないか」と語る。

 次に出合う「手紙を書く婦人と召使い」は見る人にさまざまなストーリーを想起させる。一生懸命、手紙を書く婦人の横で召使いは窓の外をながめている。婦人はだれに何を書き、画面の中心にいる召使いは何を思うのか。床に落ちた手紙も暗示的だ。

 「リュートを調弦する女」は視覚だけでなく、聴覚まで表現しようとしたのではないか。目は窓の光景を見ているが、楽器の端と接する地図の下部の軸は、矢印のように女性の耳を指す。

 大阪展のみとなる「恋文」もまた、暗示的な一枚だ。召使いから手紙を受け取った瞬間。婦人の視線は召使いの顔を見つめる。何が書かれてあるのか。緊張感の走る場面をのぞき見的構図がひきたてる。

 最後の「手紙を書く女」は、いわゆるカメラ目線。光学機器を使用していたのではないかといわれるフェルメールのこの作品と、同じ部屋に展示されているハブリエル・メツーの「手紙を書く男」「手紙を読む女」とを、ぜひ見比べてみてもらいたい。きっと、フェルメールという画家の先進性がとてもよくわかるに違いない。

 会期は5月12日まで。

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